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ここは…どこだろう……奈落の屋敷には違いないと思うけど…
ここから早く出て、帰らなきゃ…!
「んー!ふー……んっ!!!!!……開かない…?」
ただの襖にしか見えないんだけど……
ホラーゲームとかでよく見る、謎の力によって閉められてる…のかな。
寂しい……窓の外も何も見えない。
居ない事…気づいてくれたかな……
(どういう事だ…)
屋敷に入り込んだというのに、雑魚の一匹も出ぬとは…
どの部屋にも鍵はなく、自在に操れる。
雑魚が出ないのならば好都合だ…奥まで突き進むのみ。
スッ─!
「…??!!!」
「……さくら、帰るぞ。」
「殺生丸!」
「離れろ、抱擁ならここから出てからだ。」
「う、うん……」
『ふふふふふ……殺生丸様…御足労ありがとうございます。』
「…っ……奈落…」
『生憎ですが、私はその屋敷にはおりませぬ。ただ、見たいものがございまして。』
「見たいもの…だと?」
問いかけにも答えず、襖がまた閉まる。
また閉じ込められた…
そう思っていると意外にも、襖はすぐに静かに開いた。
「…………」
「ま、待って……」
廊下のない襖で仕切られただけの大部屋へと入ると、次に進むべき襖には…
[わしの見たい!
あんな事やこんな事を堪能する会]
と書かれた、幕が貼られていた。
「ふざけおって……さくら、少し下がれ。」
「う、うん…」
一
一、二歩下がると、闘鬼神を抜き、衝撃波を放つ。
が、紙さえも切れずに弾かれた。
「結界…か。」
『おっと…殺生丸様、そんなに怒らないで下さい…ここに書かれる事だけをすれば抜け出せますよ。』
よく見ると、紙幕には変なタイトルはなく
[わしの命令が全て! まずは剣を収めよ。]
「殺生丸…ここは悔しいけど、言うことを聞こう?」
「……、………後で覚えていろ…」
憎たらしく小言を呟きながらも闘鬼神を腰帯に刺し直す。
すると、本当に襖が開いた。
中の様子は暗くて分からない。
他に進みようもなく、一先ず足を踏み入れてみる。