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血が染み込み汚れた着物が、本当に刺してしまったのだと感じさせる。

「襖は開いたようだ、行くぞ。」
「…………」
「……」

暗く沈んでしまった顔は晴れない。
手を引っ張り、無理矢理歩かせる。
次の部屋に入り込めば題が示されていた。
[淫らな姿も見てみたいものだ
貴様の口付けで蕩かせてみせろ]

「………」
(ふざけるな…思い上がるのもいい加減にしろ。)
「…今度のお題は…何て?」
「…少なくとも心配する事ではない。」
「………みだら、な………くちづけ……口付け…って……キス…?」
「………奈落など下衆に…」
「……少しは気分が落ち着くかも…して…くれない?」
「…………」
『おぉ……良いぞ、さくら。さぁ、殺生丸様…食わぬは男の恥…一心不乱に!』

どう隠そうと奈落には見えているのだろう。
他の者に…まして、奈落などに見せたくはなかったが…

「…少し深くまでするが良いか。」
「とかす…んだよね?大丈夫、傷つかないもの。」
「……なら…」

目を閉じたさくらの唇に吸い付く。
節目をなぞり割り、口内へと舌を伸ばす。
控えめながらも差し出す小さなそれを捕らえ、絡めとる。
唇との隙間から漏れ出す、さくらの溶けた声。
一度呼吸をさせ、再び今度は漏れ出さぬよう喰らいつく。
くぐもる嬌声に性が反応するが、理性で抑える。
腰から力が抜けた所で解放すると、蕩けた表情になっていた。

『その表情…いつかはわしの手でさせてみせるぞ。』
「はぁ……はふ……」
「…これで良い筈だ。」
『せっかちですねぇ…開けますよ、次が最後です。』
「…………」
「…次が最後…」
「立てるか。」
「うん……あ、あの……」
「…何だ。」
「後で……また…して、くれる?」
「…………分かった。」

存分にしてやろう。
だから、まずは先に進むぞ。
そう、言えばさくらは微笑んだ。