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「これで最後…だよね?」
『あぁ、そうだ。名残惜しいがな…』
「…………」
『最後のお題も簡単だ。では、最後まで楽しませてもらうぞ。』

[私は奈落様に仕えます]

「私は奈落様に仕えます…?…これだけ?」
『よく言った!さぁ、ならば来い!』
「…!走り抜けるぞ。」
「えっ?!でも襖は……」
「開く、良いから着いてこい。」

手を引っ張られ畳の上を駆け抜ける。
グッと一段と強く引き寄せられると、胸元に運ばれる。
繋いでいた手は解かれないまま闘鬼神を抜き放ち、襖の隙間に切っ先を突き刺した。

「奥義…蒼龍破!」
「うっ…!」

直に猛烈な攻撃を受けると襖は弾き飛んで行った。

「外だ!」
「私に掴まれ、飛ぶぞ。」
「は、はい!」
『チッ…逃がしたか…』


「どうして最後は開かないって分かったの?」
「……お前だけを連れ去り、操るつもりだったのだろう。」
「じゃあ…奈落の所まで連れていかれてたかもってこと?」
「あぁ…心の隙は十分に作られていたのであろう。」
「……でも…助けてくれてありがとう…!」
「……忘れていたな、約束を。」
「約束…?……あ!あれは!も、もう大丈夫だから!」
「…遠慮は無要だぞ、戻るまでに済ませるか?」
「だ、だから!もう大丈夫だって!」

顔を赤くし、怒る。
あの時の暗い表情はない。
…奈落の手などに落とすものか。

「怪我はないか。」
「うん、どこも痛くないよ。」
「…」
「ん?!………ふふ、大好き!」
「……そうか。」