よろしくね

館の縁側に座り、幼いさくらと話す。

「…もこもこだぁ…」
「……さくら…過去の私はどうだ。」
「今の殺兄?うるさい、うるさいって邪魔者扱いだよ!母様と女子に優しくしないとねー!って言ってるの。」
「そうか……」
「でも大人の殺兄は優しさがたくさんだね。」
「…!」

つい癖でいつの間にか頭を撫でていた様だ。

「…どうか、過去の私に呆れるな。」
「…?うんっ、殺兄のこと好きだもん。」
「そうか……私はそろそろ戻る。」
「分かった!後ね、あのね…」
「…何だ?」
「未来の私をお嫁にしてね!」
「…!!…考えておく。」


「今の私はどうなっている?」
「ふふ、心配しなくても戦国の世で最強の妖怪になってるよ。」
「…っ!!」
「嬉しそう…可愛い!」
「や…止めろ…!」
「……でもね、後悔してる事があるんだよ。」
「後悔…だと?」
「うん、貴方と一緒にいる妖怪の私を死なせてしまった事を…とても…」
「………」
「だからね、昔の私をもっと…大事にしないと駄目だよ。」
「………ふん…」

いまいち、ちゃんと聞いてくれるのか分からないけれど、言わないよりはマシかな。

「帰るの?」
「あぁ、あいつは私がいないと騒がしいからな。」
「そっか、じゃあね。」
「一つ分かったのは…今も未来も変わらぬな。」
「………」


夕方、今日の夕飯は何にしようかとりんと相談していた。
そこに屋敷の主が帰ってきた。

「おかえりなさい、殺生丸さま!」
「あぁ…」
「おかえりなさい、殺生丸。」
「……」
「あのね、殺生丸…今日のお昼前にね…」

小さい頃の殺生丸に会って話をした事を話すと、私もだと返す。
殺生丸も妖怪だった時の私と会って話をしたらしい。

「その時、何か言ってた?」
「あぁ、未来の私を嫁にしろ、とな。」
「えぇ…っ!」

小さい子の純粋な心から出る言葉って怖い。

「私の方はどうだ…」
「大妖怪になれてるよ、って言ったら喜んでたよ。後は今も昔も変わらないって。」
「……そうか。」
「変なの…でも大切にしてあげてね、って言ったら照れてたよ。」
「………」
「…私の言葉が届いて、過去の私に対して後悔しない未来があると良いな。」
「…あぁ…そうだな。」

傍で聞いてたりんも楽しそうだった。
邪見はわしも見たかった…と泣いている。

「…何か、食いたい物はないか。」
「はーい!りん、鹿が食べたーい。」
「……楓の家に行っていろ、狩りに出る。」
「わぁーぁい!!」
「急にどうしたの?」
「気分が良いだけだ。」

過去の私も今の私も変わらないって言っていたけれど…
過去の殺生丸も大妖怪である今の後ろ姿にそっくりだった。
お互い変わらないもの同士なのかもしれない。