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殺兄が以前逃がした妖怪を前に苦戦を強いられている。
傍から見れば互角の様にも見えるが確実に殺兄にも傷が増えていく。

(このままじゃいつ膝を着いてもおかしくない…少しだけ隙を作れたら…)

腰に下げた刀を握り抜き、頭を狙う。

(私の刀で気を削がせたら、そしたらその隙に殺兄は…)
「っ!さくら!余計な真似をするな!」
(お願い届いて!)

投げ放った刀は相手の顔を擦り切りながら背後の洞窟に突き刺さった。

「手を出したか!ぬ"ぅ"ッッッ!!!!!」
「っ…!」

ここにしてこの様な力をまだ残していたとは…??!!!

「う"あ"ぁぁぁッッッ??!!!」
「─?!」

耳に届いたのは苦痛の叫びに血肉の裂ける音。

「ク"ック"ック"ッ…手を出さねば無事に済んだものを…」
「────────────」
「さくらっ…!」

駆け寄ろうにも奴の手が邪魔をし、近づけない。
その間にも血は垂れ、突き刺さった触手を抜くと共に崩れ落ちる体。

「─っ!!!!!ふっ"……」

何だ……この感覚は……これが化けるという事か…?
チカラがカラダの中をカケメグル!!!!!


「はぁ……っ…はぁっ……は……っ…」
「」
「……ぁっ…さくら…よ……死ぬな……」

本性を表し狂った私を見るなり、あやつは「呆れた」と一言吐き捨て、私を嬲り飛ばした。
何とか意識を保てたのは良いが、さくらが息をしておらぬのではないか…?
城へ戻るのはいつぶりか。
戻る理由も何故この様に無様でならなければいけないのか。
私には到底理解出来ぬ…