鬼さんはどちら?

「そっか〜……もう節分かぁ…」
「カレンダーがないから実感ないかも。」
「うん、確かに。」

かごめと町まで下りて買い物をしていると、幟がたくさんあり、そこには鬼払いと書いてある。
そしてメインに炒り豆や草柳などがたくさん売られ、節分なんだと分かった。
でもこんな戦国の世で、妖怪がいるのに鬼払いなんてするんだ、って感じだ。

「どうしよっか?恵方巻きでも作る?」
「皆を呼んで食べるのも良いね。」
「じゃあ…海苔と酢はあるのかしら?」
「探してみよ!あと、豆撒きもしたいな。」


「犬夜叉〜ただいま〜!」
「うおっ?!荷物が大量じゃあねぇか!」
「節分だから皆を呼ぼうと思って!」
「節分……あぁ、鬼払いか?」
「そうそう、あと、私達の時代じゃ恵方巻きって海苔巻きを食べるのよ。」
「へーぇ…」

犬夜叉は袋から出される食材を興味深そうに見つめる。
食べ物に対してはかなり食い付きが良いから楽しみにしてるのかもしれない。

「じゃあ今日は犬夜叉は鬼になってよね。」
「あ"っ?!何で俺が鬼なんだよ!」
「だってー夜叉ってついてるしー、強いじゃなぁい?」
「そ、そうかもしれねぇけどよぉ…豆痛てぇからお断りだっ!」
「じゃあ犬夜叉が駄目なら弥勒様になるわね。」
「そんなことして良いのかな…仮にもあの人神職の人だし…」
「法師様だもんね。あ、本当だ!やっぱり犬夜叉しかいないじゃない!」
「鬼ならそこらにもいるだろ?!」
「なによー!そんなに豆が怖いのー?!」

なかなか首を縦に振らない犬夜叉。
このままじゃ夫婦喧嘩が勃発しちゃう…

「…騒がしいぞ。」
「殺生丸…あ、ご、ごめん。」
「──だからと言って七宝ちゃんなんて可哀想だし!」
「…あ奴らは何を言い争っている?」
「えーとね…今日は節分だから、豆撒きの鬼の役を犬夜叉に頼んだんだのに、嫌だって言ってて…」
「節分………私も父上と鬼払いならしたことはある。」
「…えぇー??!!!ごご、ご貴族様な殺生丸が?!」
「あぁ、父上が所望してな……鬼の面ではしゃぐ父上を成敗したものだ。」
「い…意外………」
「鬼ならばお前でも良いではないのか。」
「私も嫌だよー!痛いし!犬夜叉が敵だなんて恐ろしい…!」

絶対犬夜叉に豆を握らせたら本気でかかってくるに決まってる!
絶対一番テンションが上がってめちゃくちゃにしてくれるに決まってる!

「ならば…邪見に任せれば良い。」
「あー…邪見……最終的にはそうなるよね…」
「邪見?邪見でも良いわね。チビだけどそれっぽいし。」
「おー、じゃあ今夜はさくらの屋敷かー!」
「都合の良い耳……ま、まぁ…あっちは広いからしやすいけど……良いの?」
「…構わん。」
「じゃあ珊瑚ちゃん達が帰ってきたら行きましょ!」