鬼さんはこちら!

「こ、こうか?」
「そう、そう…!上手じゃない!」
「ふ…ふふん、俺にかかりゃ何だってやれるんだよ。」

珍しくやりたいと手を挙げた犬夜叉が恵方巻きを巻いている。
見る度に思うけれど、髪をポニーテールで縛って、裾をまくった犬夜叉はちょっと可愛い。


「わー!海苔巻きじゃな!美味そうじゃ!」
「ちゃんと切ってあるから食べやすいと思うわ。」
「いただきますー!」

思い思いに並べられた恵方巻きや味噌汁を食べていく。
皆で座ってもゆとりのある机の上の料理はあっという間に無くなった。

「さくら、熱いお茶を頼んでも良いか?」
「おっけー、ちょっと待っててね!」

楓ばあに頼まれ、お湯を沸かしに席を離れた。


「楓ばあ、お茶出来た…よ……??」
「あぁ…ありがとう。」
「何…してるの?」
「折り紙だよ〜!がおー!」
「がおーじゃなくて……」
「ねっ、さくら。鬼は楓婆ちゃん抜いた、この10人でじゃんけんで2人決めようと思うんだけど…どう?」
「え、あ、まぁ…良んじゃない…かな?皆が良いのなら…」
「殺生丸さまもやってくれるんだよー!」
「う、うん…」

まぁどうせ、私が負けるか、琥珀くんもいるし、そこ辺りの人が負けるでしょ…


「はい、どーぞ!」
「何で負け"ん"だよ"っっ…!!!!!」
「………」
「じゃあみんな豆持ったー?」
「あ、あのー……」
「…?どうしたの?鬼、やりたかった?」
「そうじゃなくて……殺生丸に豆なんて投げつけられないよ!!!!!」
「えー?私は全力でやるつもりよ!」

まさかのじゃんけんで負けた二人が犬兄弟だなんて!

「……さくら、私を成敗してみせろ。」
(か、勝てる……気がしない……)

結局避ける2人に向かって全力で対抗した。