2

一人作戦を練りたくて、ジョゼフが部屋に来る前に自室を出、鍵をかけてトレイシーの部屋に訪ねた。

「おっ?珍しーね!ジョゼフが来るんじゃないの?」
「今日はちょっとね。」
「まぁ、いいよ。一緒に寝よっか〜。」

トレイシーにからかわれながらも部屋に入る。
持ってきていた枕を抱えて、エミリー先生の助言について話してみた。
すると、トレイシーはとびっきりの笑顔で

「ジョゼフにお触り禁止って言えばいいじゃん!」
「へっ?!」
「だって、あの人しょっちゅうサクラに触ってるもん。気付いてないの?」
「ん〜…?言われてみれば…確かに…?」
「ねっ!明日の朝、会ったら言ってみたらいいよ。私も隣で見てるから!」
「う…うん……それで何か反応があれば良いなぁ…」

それぞれの部屋にある少し大きめのベッドに二人並んで、その日は眠りについた。


翌朝、朝食を食べに食堂に向かうとジョゼフはいなかった。

「あ…おはよう、サクラ。」
「フィオナ、おはよう。」
「昨夜、サクラの部屋にジョゼフが来ていたわよ?」
「やっぱり…?その後は知ってる?」
「鍵も掛かってると分かったらそのまま帰って行ったわ。」
「そっか、ありがとう。」
「何か面白い事でも思いついたのかしら?」
「私が考えてあげたの!その名もお触り禁止令!」
「あらあら、とても面白そうだわ。」

いつもの不敵な笑みを浮かべて、とても楽しんでいるみたいだ。
席について並べられたご飯を食べる。
今日のゲームは夕方に一試合あるだけだ。
朝にゲームのあるメンバーは早々と席を立った。
ご飯を食べ終わり、そのまま食堂でみんなと話をする。

「あぁ…サクラ!…いて良かった。」
「ジョゼフ…おはよう。どうしたの?」

玄関に繋がっている方の扉から、いつもより大きな声で私を呼んだジョゼフ。
コツコツと大股で近づく彼。
ウィラの席に座っていたトレイシーに、脇腹をつつかれる。
どうしたの?と聞こうと思ったが、合図なのだと気付く。
私の顔に手を伸ばすジョゼフに

「わ、悪いけど触らないでほしいな…」
「……すまない。」

ピタリと止まった手に、少し影を落とした表情。

「し、暫くはジョゼフに触られたくないから…ごめんなさい。」
「…何かあったのかい?」
「特にはないのだけど……」
「………分かったよ。君が嫌だと言うのなら私は待つよ。」

良かった、ひとまずは作戦を実行出来る。
少し話をした後、ゲームがあるからと帰っていった。

「面白くなってきたね〜〜〜っ!」
「私も行く末をこの目で見たいわ。」
「女ってこえぇな……」
「まぁ、私もジョゼフさんのこの後が気になりますがね。」