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トレイシーの言うお触り禁止令を出してからは、驚く程に指先一つ触れられなくなった。
話をする時の間合いが近いのは変わらないが、体が触れない程度に隙間を開けていた。
ゲームでもハッチへの案内がただ前を先導し、どうぞと導くだけになった。
夜も部屋を訪ねてくるが、私が眠るまでの間傍にいて、その後は自室に戻っているようだった。
そんなジョゼフを見て凄いと思いつつ、肝心の言葉を聞けてない事に気がつく。
まだ、まだ辛抱出来るから。

ジョゼフから触られない事にも慣れてきた。
そんなとある日に、試合放棄をした謝必安さん達と月の河公園の遊具で遊んでいた。
メンバーはナワーブ君とパトリシアとフィオナ。
でも、どうやら謝必安さんは私がいた為に試合放棄をしたらしい。
謝必安さんが私に話したい事があるからと、皆でサーカスのベンチに座った。

「お話って何ですか?」
「えぇ…単刀直入で申し訳ないのですが…サクラさん、ジョゼフさんに何か仰いましたか?」
「ん…?」
「どうも最近彼の様子がおかしいのですよ。」
「それっていつからだァ?」
「うーん…1週間程前からでしょうか…」
「あら?その辺りって確か……」
「うん、私が触らないでって言った日だね。」
「おや、心当たりがおありでしたか…」
「それで、様子がおかしいってどんな風に?」

謝必安さんが言った言葉がどうにも不思議で、とても気になって聞いてみた。
最近、毎日の様にソファーに腰掛けると物凄く不機嫌なオーラを出している。
ゲームに負けてもさほど気にしない彼が、とても怒っていること。
俯いて溜息をつく姿をよく見るようになったこと…
どれも会った時の彼とは想像がつかなくて、思わず謝必安さんの顔を凝視してしまう。

「アタシもジョゼフ、変なの知ってるヨ。」
「パトリシアさんも気付かれましたか?」
「最近、ジョゼフは殺気が強クテ…」
「ひえぇ……」
「フフフ……フフフッ…!知らないところで面白い事になっていたみたいね!」
「フィオナ〜…」
「アイツもそんな事になるんだなァ……何か俺も面白くなってきたッ。」
「ナワーブ君まで!」
「どういう事…でしょうか?」

謝必安さんに私の悩みを解決する為に、作戦を実行していることを話した。
謝必安さんはなるほど。と言って眉を更に下げてしまう。

「そろそろジョゼフさんをどうにかしていただけませんか?」
「そんなに酷いんですか…?会った時なんて全くそんな素振り見せないから…」
「あぁ、もうあんなジョゼフさんを見るのは辛いです。」
「惚れた女の前では男らしく居たいってわけか。」
「…分かりました。目標達成してませんけど、ネタばらししてみます。」
「本当ですか…!あぁ、良かった…これでいつものジョゼフさんに戻ってくださるでしょう!」

ゲートまで案内され、お辞儀をした謝必安さんと別れた。