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「おっと、俺に運んでもらおうなんてこと考えてないよな?」
「……っ」
「ほら、進めよ。」

さっきの這いずれ、ってこういう事か。
痛む体に内出血をして口から溢れ出る血。
額からも血が流れ落ち視界が塞がれていく。
軽い酸欠状態に意識が途切れそうになりながらも向かう。
范無咎さんは私の前を歩き、じっと見ている。
必死に這い、あともう少し!と言う所で持ち上げられた。

「ハッ!…逃げられると思ったか?」
「…………」
「あぁ、良いな…その顔……」

頬に軽くキスをされた。
意味が分からない。

「さぁ、このまま溶けてしまえ。」
「…………」

表記を確認すると赤い波がほぼ満タンになりかけており、もう出血死するんだと悟った。
出血死したサバイバーは溶けて、荘園の方に元の姿となって戻る。
初めて見た時は恐ろしくて解読もままならなかった。

「………」
「ふっ……… 捕まえた。」

意識が飛ぶ前に見た言葉は、恐ろしいものだった。


荘園の待機ロビーに戻ってくると、私の身を案じてか、全員残っていた。

「大丈夫だったか?!」
「あぁ…結局逃げきれなかったのね……」

マルガレータの手には結果が記された紙。
ウィリアムがその紙を見て、落ち込む。

「これ……サクラだけ失血死してるじゃないか…」
「…うん……」
「大丈夫か?顔色が悪いぞ?」
「そ、そう…?」

ノートン君に指摘され、手で顔を触るとビックリする位に冷たかった。

「部屋で休んだ方がいい。」
「い、いやっ…ひ、ひとりに……しないで……」
「………」
「分かったわ、私が一緒にいるわ。さぁ、この部屋を出ましょう?」

異様な私の状態に、皆が困惑をする。
マルガレータの手を両手でギュッと握りしめて、廊下を歩く。

「あの後、何があったか話せるか?」
「……」
「あぁ、無理はしなくていいからな!」
「ううん……聞いてほしい…」

ぽつぽつと先程の事を話し始める。
最後の言葉を伝えた時、ノートン君の足が止まった。

「サクラ、ゲーム以外は極力会わない方がいい。」
「何でだ?」
「……嫌な予感がするんだ。」
「………」
「こっちで出会う時は、絶対に一人で会ったら駄目だ。」
「う、うん……分かった。」

強い眼差しで言い聞かされ、従った方が良いと感じた。
ノートン君もそれなりに危ない橋を渡った人だ。
絶対に言う事を聞いた方がいい。
マルチルームに連れていかれ、ソファーに座らされた。
近くに居た仲間達が、私の顔と周りの雰囲気を見て、何かあったのかと聞く。
ノートン君が私に言った言葉を周りの皆にも伝える。

「おや、それは同じハンターとして聞き捨てなりませんね。」
「リッパー、だがな。」
「私はとやかく言うつもりはありません。しかし、これだけは言っておきましょう。」

ハンターは皆、表面だけが真ではない。
それはサバイバーよりも狂っているのだ。

そう、それはリッパーさんのもう一つの人格が切り裂きジャックだと言うのもあって、受け入れるには充分だった。