3


「こんにちわ、サクラさん。」
「…!!!!!」
「こんにちわ、謝必安さん。珍しいですね。」
「あぁ、確かイライさんと申しましたね。同席してもよろしいですか?」
「……サクラさん…」
「は、はい…どうぞ……」
「ありがとうございます!またサクラさんとお話が出来ますね。」
「………」

イライ君の梟ちゃんを触らせてもらっている時に、彼らは来た。
あの時の情景が蘇り、体から冷や汗が出る。
私の変化に梟ちゃんが心配した様に見上げる。
大丈夫だよ、と頭をスリスリと擦りつけてくれる。
そう、今は隣にイライ君もいる。
大丈夫……一人じゃないから……

「……サクラさん?大丈夫ですか?」
「ハッ……あ、はい…すみません。ぼーっとしてて。」
「そうでしたか、そのですね。この前はすみませんでした。無咎が意地悪をしたと聞きまして。」
「い…いえ、それがハンターの務めでしょうし…」
「無咎に言い聞かせておきますね。」

その後も謝必安さんが色々話す。
怖くて顔を上げれないまま、会話をする。
キュッとイライ君の服を掴み、恐怖心を隠し通す。
あんな酷い事をしていて、優しく語りかける謝必安さんが怖かった。
頭が混乱して、涙が出そうになる。

「…あの、謝必安さん。」
「〜〜、……どうしましたか?」
「ちょっと今日はサクラさんの体調が悪くて、また具合が悪くなってるみたいなんです。」
「おや、それは気付かなくてすみませんでした…では、今日はもうお暇しますね。」
「すみません、ありがとうございます。」
「いえ……またお話をしましょうね、サクラさん。」
「………はい。」

頭上では、あの優しい笑みを浮かべて語りかけているのだろう。
謝必安さんの気配がなくなり、扉の閉まる音がして、帰ったことが分かった。
ようやく顔を上げられる。

「大丈夫でしたか?とても震えていたので…」
「ありがとう、イライ君…っ…!私…怖くて…!」

感極まって抑えていた涙が溢れだし、思わずイライ君に抱きつく。
急にして、失礼だと思いながらも背中に手を回され、頭をゆっくり撫でるイライ君の手に、また涙が流れる。

「大丈夫ですよ、落ち着くまでこうしていますから。」
「うっん…、ヒック…ごめんね…っ、ありがっとう…っ!」
「サクラさんは頑張りました…今日はもうゆっくり休みましょう。」

泣いて疲れたともあり、そのまま寝てしまった。
気がついて目を覚ませば、ベッドの上で布団までかけてもらっていた。
時計を見ると夕食前。
泣いたからか、目が痛い。
洗面器の前に立ち、鏡を見ると酷い顔をしていた。
こんな顔じゃ皆の前に出れない……
顔を洗って、少し化粧をして部屋を出る。
食堂の席に座っていると、反対側の椅子が引かれ、イライ君が座った。

「大丈夫ですか?寝てしまったので、ベッドまで運んでしまいましたが…」
「うん、ありがとう。ちょっとすっきりしたかも。」
「それは良かった、美味しいご飯も食べて元気をつけてくださいね。」
「うん…」

優しいイライ君に心が休まる。
隣に座っているウィラが、今日は私の部屋に来なさい、と言う。

「目に隈が出来ているわ、眠れていないのでしょう?」
「ほ…ほんと…?あはは……」
「眠ると悪い夢でも見てしまうの?」
「………うん…そう…范無咎さんが…私を…」
「そう、それは辛いわね。大丈夫よ、夢を見ずに眠れるアロマを用意するわ。」
「ありがとう、ウィラ。」
「皆あなたを心配しているのよ?何かあっては大変だわ。」

そっか…そうか…あの日から一人になる時間はなくなった。
皆、私を気遣ってくれているんだ…

「暗い顔すんな、皆でこの悪夢から出るんだろ?」
「………そうだね、そうだよね。」
「サクラはいつも頑張ってるの!だからエマ達にもっと甘えてほしいの!」
「ありがとう…みんな……」

仲間思いの皆に囲まれていると強く感じ、少し元気が出た。