5.謝必安
パチリと急に目が覚める。
眠たい頭を持ち上げ座り、時計を見るとまだ早朝だった。
隣を見れば必安はまだ寝ている。
何だか不思議。
寝るのも私の方が先だし、起きるのも必安の方が先。
寝ている姿を見れるだなんて…
再び寝転んでぎゅっと抱きしめる。
雨の匂いがする……
「…………、…」
「……必安…おはよう。」
「えぇ……おはようございます…」
「ふふ…」
「珍しいですね…」
「何だか目が覚めちゃって。」
一束の黒髪がさらりと肩から流れる。
流れ落ちた髪をすくう。
きめ細かい手触り…
「髪、私が結んでみてもいい?」
「えぇ、どうぞ。」
普段あまり自分の髪も結ばないからうまく出来るか分からないけれど…
「では、私もサクラにお粧しを施しましょう。」
「わ…私は……」
「大丈夫、可愛らしい貴女にきっと皆驚きますよ。」
「……!」
櫛で長く綺麗な黒髪を丁寧に梳く。
頭の上にお団子を作り、余りの髪を流す…
毛先の方を少しだけ編み込み、出来たよと伝える。
「おや、少し遊ばれてしまいましたね。」
「必安みたいに綺麗に出来なかったけど…」
「ふふ、ありがとうございます。ちゃんと崩さずに過ごしますからね。」
「…っ!」
「では、今度はサクラの番ですよ。」
「おはよう、みんな。今日も頑張ろうね…!」
「おっはよ〜!あれぇ?サクラいつもと違う!」
「似合ってるな、誰かにしてもらったのか?」
「う、うん…必安に……」
「キレイ、カワイイ!」
「みんな、絶対サクラだけは守るよ!」
「そうだな、このメンツなら全員脱出も夢じゃない。」
「サクラもその可愛い髪形崩しちゃったら、ボクが怒るからね!」
「トレイシーに怒られないように頑張る…!」
「〜…♪」
「うっ……!あ、あれ…?謝必安さん…いつもと、違う…なの…!」
「おや、気付きましたか?」
「そ、それ…!サクラにっ、してもらったのっ?」
「ふふ、えぇ…そうですよ。不慣れながらも結ってもらいました。」
「めず…らし…!い!なの…!」
「だから私もお礼にお粧しを施しましたよ。」
「な、にか…あったなの?」
「ふふ、いえ特には…ただ………」
いつもより早く目が覚めたから
(早起きをした彼女はイタズラ好きなのかもしれない)