俺だけ、私だけ@







トレーニング後、もう夜遅いし帰ろうと事務所の廊下を歩いていた。こんな時間だからもうスタッフさんもほとんど居なくて、光もまばら。
そんな中1つのスタジオの電気が付いているのが見えた。確か玲於と花子ちゃんがスタジオで練習するって言っていたな、電気ちゃんと消しなよ…。

てかまず花子ちゃん取るなよ、末っ子コンビとか言われちゃってさ、俺だって同い年だし。せめてトリオって言えよな。



GENERATIONSの紅一点の花子ちゃんは頑張り屋さんだ。いつも1人で何かを抱え込んでる。相談相手になれたらいいけど、彼女は人を頼らない。



スタジオから漏れる光に導かれて、窓から中を見れば俺よりも玲於よりもはるかに小さな背中。






『花子ちゃん』






スタジオに入って、声をかければ肩をビクッとさせて静かに花子ちゃんが振り向く。





「隼くん、お疲れ様!」






そう言って微笑む花子ちゃんは最高に可愛い。キュンっときた。
GENEだけじゃなくEXILEさんや三代目さんが弱愛するのもわかる。

何時間踊っていたのか汗だくで、バカ、Tシャツ透けてるし。目のやり場に困るんですけど…。






「ねえ!隼くん、なにそっぽ向いてるの」

『うるさい…//』

「ええ〜〜酷い〜!」

『それより…、こんな時間まで踊ってたの?玲於は?』

「玲於はね、2時間前に帰ったよ」

『はぁ!?花子ちゃん置いて帰ったの?』

「うん、踊り足りなくて」

『ハァ…、こんな遅くに1人で帰るつもりだったわけね?』






ホント玲於は…GENEのお姫様をもっと大切にしてくれないかなぁ……。
花子ちゃんもストイックだしきっと新しい振りで納得のいかないところでもあったんだろうなぁ。

そういうとこも好きなんだけどさ、もっと周りを頼ってくれていいのに。






「うん、てか別に平気だし」

『平気じゃないでしょ、花子ちゃんは女の子なんだから』

「またそれ?隼くんそればっかじゃん、」

『何回でも言います、夜は危ないんだから』

「うん…でも、隼くんが来てくれて嬉しい!」






そう言って笑う花子ちゃんを見るとつい許してしまう。仕方ないなぁって、全くこいつは〜って、でも今日の俺は許し…ません!今日こそ言ってやる。






『あのね、花子ちゃん』

「ん?何、改まって」

『もっと俺を頼って欲しい』







あ、"俺らを"だ。でもいっか、俺だけでもいい。いや、俺だけがいい。もっと頼ってくれ。








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