君と出会うまで










HIROさんに新曲を書いてほしいと頼まれて、メロディーは出来たけどなかなか歌詞ができない…。
そろそろ締切なのにな、

ちょっと気分転換に外に出てこようかな。
直人さんには勝手に一人で出歩くなと言われてるけど秘密で出かけちゃおう!




直人さんに買ってもらったワンピースを着て、お気に入りのサンダルを履く。






電車に乗って適当な駅で降りて目に入ったカフェに入ってコーヒーとケーキを頼んで窓側の席に座る。

店内をぐるっと見渡せばいろんな人がいて…あれ?あのキャップを被った人、見覚えあるなあ…。
誰だろう、と考えていたら目があって自分のコーヒーを持って近づいてくる。


えっ、何か気に障ることしちゃったかな…。








「あの、相席良いですか」


『あっ、はい。どうぞ…』






「どうも」と頭を下げて目の前に座る。
他にも席空いてるのに…やっぱり知り合い?





「あの、えっと…この前事務所にいましたよね?」


『事務所…?』


「あれ、人違いだったかな…ピアノ弾いてませんでした?」


『ピアノ弾いてました…多分』






なんで知ってるんだろう、事務所の関係者とかなのかな?
ジッと相手の顔を見つめれば、はっとして少し顔を赤くしてうつむく。あれ、この人…






『肌の白い人!!』


「ふはっ、それ。それなんなの笑」


『その、シュガーレス…見て、肌白いなって思いまして…ごめんなさい』


「別に謝らなくていいっすけど、てかあんたも肌白いし」





そうだこの人、この前事務所で曲を作っていた時に会った人だ…。その時に一緒にいた歌の人は居ないみたい。

てか、あんたって…。この人見かけによらず口が悪いのかな…。
笑った顔は可愛かったのに。





「てか玲於」


『はい?』


「肌の白い人じゃなくて、玲於」


『玲於さん…あっ、そういえば直人さんが言ってた…』






玲於さん、この人が玲於さんかあ。
なんか踊ってる時の印象と違うな…あのPVやドラマは幻とかなのかな?何考えてるかわからない。






「直人さん?直人さんの知り合いなの?」


『あっ…』





まずいこれ秘密事項だよね…。

ちらっと玲於さんの顔を見れば、どうでもよさそうな顔をしてコーヒーを飲んでいた。




「まあ何でもいいけど」







「で、いろいろ聞きたいことあるんだけどさ、」


『…はい』





うわ、興味なさそうにしてこれ絶対直人さんの事聞かれるよね。
そりゃそうか、こんな一般人が芸能事務所に出入りしているうえに直人さんと知り合いとか怪しいもんなあ…。

どこまで答えていいんだろう、弟分って言ってたし話しちゃっていいのかな?



そんな心配を余所に玲於さんの口から出た言葉は、ほんの5分も話していないのに彼らしいと思えるような質問だった。

















「あんたの名前何?」






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