四月といってもまだまだ肌寒い。
朝起きた時は寒いけど、学校着くとけっこう体あったまるからカーディガン着るか迷うんだよね…寒いの嫌いだから結局着てしまうが、ここ最近の悩みどころである

通学路をぴょこぴょこ霞がかった猫が風に流されてしまいそうな不安定さで歩いている
アレは悪意の塊ではないけれど、死んだことに気づいてないまま漂っているのかもしれない。
ならば助けたい

私の力は便利といったらそうだが、対象であるモノが私を認識していなければ無効だ。
きっと不特定多数に、無造作に使用できる便利なものじゃないんだろう

とにかくあの猫の視野内に入らないと。
走り出そうと前へ一歩を踏み込むのとは反対側に強く引かれた


「わッ…!?」
「アレは関わっちゃダメっスよ」


後ろに傾く体を自分では支えきれなくてそのまま後ろへ倒れこめば、私の腕を引いたであろう本人の胸で受け止められた

随分と高い位置から声が降ってきた。
恐る恐る見上げれば男子の平均よりかなり上の方にある、透けるような黄色が


「えっと…?」
「何をしようとしたか知らないけど、関わったら君にも不幸がきちゃうっス」
「不幸?ていうか、アレ…見えてるんです、か?」


はて。
今までまったく有力者とは会わなかったのに、先週の金曜に赤司くんと会ってから芋づる式に会うんだけど


「あれ?君ってもしかして黒子っちと赤司っちが言ってたコ?」


人の話をきいてほしい
赤司くんと黒子くんはどちらも知っているし、おそらく奇天烈な力を持つ自分は彼らにとってホットな話題であろうから、やんわり肯定しておく
自虐的になってしまうのも仕方ない

目を合わせると、驚いたあとすごく嬉しそうに彼は笑った

──この人は人付き合いにも何事にも積極的な人なのだろう

そんな自信、私にはないから少し不安だ。

いつもの癖で両手を口元まで持ってきてしまう。
よくよく見ればとても整った顔立ちをしているし、薄い黄色の髪に片耳だけについたピアスとか、すごく女の子が好きそうな容姿をした人だ

逃げたい…

赤司くんも黒子くんも格好いいし可愛いけど、なんだかこの人は違う。
いつでも輪の中心にいて自分から何でも発信していく、人気者


「どうしたの?もしかして具合悪い?」
「!え…あ、い、いえ」
「よかった、さっきの猫に当てられたかと思ったから」
「そういえば、アレ…!」


先ほどまで猫が揺蕩って場所から忽然と姿を消している。
いなくなっているのは当たり前といえばそうなのだが落胆してしまう。
祓わなくてよかったのだろうか


「もしかして混乱してる?学校行きながら話そっか」


こくり。
頷けば、また華やぐように破顔した
身長差を気遣ってか、少し屈むようにして話してくれる彼を邪険には出来なかった





returm next
ALICE+