まだ早朝とも言える時間。
そういえば何故彼女はこんなに早くから学校に向かっていたのだろう
「ずいぶん登校するの早くないっスか?」
俺はいつも通りに歩いていたつもりだったけど、平均的な身長の彼女からしたら速すぎたか。
しまったな
ほんの少し息を乱した少女がいきなり話しかけたことに驚きながらこちらを見上げる
まだ白い朝日に照らされて、瞳がキラキラ輝く。
もとは濃い青なのかもしれないが、その中に白んだ光が入り込んで言葉では表せない色合いとなって虹彩から反射していた
「あ、朝はいつもこのくらいの時間なの。人が多い時間に登校するとさっきみたいなのに遭遇する確率高くなるから…」
「ああ、なーるほど…」
さりげなく速度を下げる。
先ほどから不安げに口元に添えられる白い手を見て、少々困る。
女の子にこんな反応されたことないからなー…んん、どうするか
「あ!俺は黄瀬涼太!黒子っちと赤司っちと同じバスケ部なんス」
「そうなんだ…」
自分のような人間は、得手不得手がかなり分かれることは自覚している。ずっと彼女の言葉尻は消えていく形で会話が成されていくし。
でも見たこともない輝きの瞳を手放すのも口惜しい、と思う
ショーゴくんほどでもないけど、俺だって強欲な方だ
「ね、名前教えて」
「あ…遅くなってすみません。有坂白雪です」
「白雪ちゃんっスね!」
戸惑いつつも笑ってくれる表情がとても可愛いことを知った。
黒子っちと赤司っちと知り合いでバスケ部と言ったことがよかったのか、ちょっと打ち解けてくれたみたい
「あの、黄瀬くんも妖怪が先祖なんだよね?」
「そうっスよー。俺はなんだと思う?」
「うーん。んんー…んー?」
真剣に悩み始めた白雪ちゃんが可愛くて笑いたいけど、きっと笑ったらまた恥ずかしがってしまうから我慢。
思い悩む彼女の瞳は相変わらずキラキラしてる。
なんて言うんだろう、この色。
赤司っちに聞いたら教えてくれるかな
「狐…?それか天狗とか?」
「ぶっぶー。正解は女郎蜘蛛っス。知ってる?」
「知ってる!でも女郎蜘蛛って、名前の通り女の人の妖怪かと思ってた」
「んー…俺も詳しくないんスけど、ただ美人な女に化けてただけで妖怪の性別自体には関係ないみたいなんスよ。現に俺の前はじいちゃんが受け継いでたみたいだし」
「妖怪って奥が深いんだねぇ…美人に化けるなんて黄瀬くんにぴったりだね」
容姿を褒められることなんて生きてきて何度もあった。
それこそ呼吸をするのと同等くらいに。
でも彼女の言葉には、俺に気に入られたいだとか嫌味だとかそんなものはまったくなかった。
黒子っちのあの優しい表情にも、納得がいく
学校に着いてから白雪ちゃんと別れる。
もうちょっと一緒にいたくて、もっと俺のことを知って欲しくて。
バスケ部見てけば?と言ったが人見知りだしよくわかんないからいいと断られた
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