ー他の妖怪に興味あるなら今度バスケ部に来てみるといい
赤司くんからのお誘いに乗って土曜の朝、学校に来ている
練習は午後からだけど妖怪の人たちを呼んでくれるらしい
申し訳ないからと断ったけど、普段から部活に出ない人もいてこうでもしないと会えないんだとか。
なんだそりゃ
学生は学生らしく部活に励みなさい
こう思った私は間違ってない
もとより生徒会室に用があると言っていた赤司くんからメールがきていた
もうすぐマネージャーの女子が着くから話してて
ほう。
マネージャーって桃井さんかな?
彼女とは希望者のみの模試の時に席が隣だったから知ってる。
消しゴム忘れて焦ってたから半分あげたらすごく感動されたんだよなぁ
「あ、いた!」
可愛らしい声が響いて振り向けば久しぶりに目にする桃色の髪と瞳
親しいわけじゃないけど話しやすそうな子だし、赤司くんが来るまではきっと大丈夫
「中に入ってみんな待ってよっか」
「うん。ねぇ、ここにいるってことは桃井さんも妖怪なの?」
「そうだよ。白雪ちゃんのことは赤司君に聞いたけどびっくりしちゃった。初めて会った時ニオイなかったし」
あ、私がなんの妖怪かはまだ秘密ね
華麗にウインクする彼女に見惚れる。
ここまでウインクが様になるのは桃井さんと黄瀬くんだけだな
あ、赤司くんも似合いそう
揺れる桃色に駆られる衝動を抑えながら後ろをついていく。
キレイだなぁ…うぅ、触りたい
そういえば桃井さんジャージだ
いいなぁ、部活入ってないから運動部のジャージやラフな格好に憧れる
ぼんやり眺めていると彼女の開けた体育館の中に、首から下のない大きな狼みたいな靄が待ち構えていた
「あっ…桃井さん!」
背中を向ける彼女の腕を反射的に掴んで抱きしめる。
桃井さんが重いわけじゃないけど、同じ女の子を抱きとめるほど私には筋力もない
転ぶのは踏ん張って避けたがよたよたよろける
なんだコレ、狼?犬?
こんなモノ見たことない。
私の力で祓えるかも不安だし、でも桃井さんに被害がないように守りきらないと…
きゅ、と抱きしめた桃井さんが私の瞳に釘付けになっていたことには気づかなかった
どうしようと迷っている間に大きな犬を象った靄はすばやくこっちに飛びかかってくる
咄嗟に桃井さんを突き飛ばしてしまう
力を使わなきゃ、と思うものの生首のスピードの方が早い
こわッ!?
今までで一番こわいんだけど!?
開きかけた口から言葉は出ないまま喉に噛みつかれる
「うッ…!!」
「白雪ちゃん!」
焼けると思った
喉に貼りつくように熱が広がる。
痛みで声も出ない
「大丈夫!?なんでここに犬神がっ…」
「あーあ。なんで赤ちんたちがいないときに限ってこんなことになってんのー?」
間延びした声と一緒に、私たちの前に蔓延っていた靄が消えた
かぶりつくようにして一瞬で飲み込んだ真っ黒な骸骨
ペロリ
真っ赤なしたで舌舐めずりをして、眠たげな瞳はニヤリと笑った
「ごちそーさまぁ」
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