最近ここで件に会う頻度が増してる
原因は有坂が俺たちに変化をもたらしているからなのか、もしくはただの偶然なのか。
しかし最果てのない箱のなかで件と出会い先読みをするのは悪くない
やはり己も妖怪の血が流れているからか、件と向き合うのは落ち着く
「また誰かに何かがあるのか?」
半人半牛というよりも顔面のみが人間であとは俺と同じくらいの大きさの牛だ
俺の中に生きるこの妖怪は決して喋らない。
ガラス玉を嵌め込んだような瞳でじっと此方を見つめ、精神面での同調が始まると予言である未来を映像で見せてくる
ー有坂は映らないが。
映らない有坂を軸に親しい面々が、おそらくそこにいる有坂であろう何もない空間に笑いかけたり守ったり助けたりしている。
だから俺はわかる。
こんな顔を見せる相手は彼女しかいないだろうと
必死な黒子とナニかを抱きしめる赤司が視え、次に紫原が口角をあげ髑髏を、口元を血で汚した赤司へと喰い掛からせる。
ああ、これは彼女に何かあって血抜きをしたのだ
最後に泣きそうに歪んだ赤司と、涙で濡れた白い頬だけ視えて、映像は終わる
件は少し微笑むように口を歪め、崩れるようにして枯れていった
「この日は保健室を無人にしておかなければな」
俺だって助けたいのに
掌にあるのは眺めるだけしか出来ない力
白雪は夢入を試みようとしている。
ー救われないモノもあるんだ
甘やかで悲しげな彼の声が木霊する。
ならば自分はなおさら狐に化けた祖母から逃げるべきではない
紺青の輝き、涙袋から目尻に跳ね上げて引かれている紅色。
コレらとあの夢見はもう無関係と言えないことはわかった
眠りに落ちる寸前、思考を止めてあの日のあの夢に入る
夏、誰もいない道路の真ん中、音も何も聞こえない昼間、カーブミラー…
パチリ
目を開ければそこはもう夢の中だった。
当時と寸分変わらない景色。
体が小さくなっているようだ
ひらりひらり真っ赤な蝶が舞うように遊んで、ちりんちりんとナニかが近づく。
数メートル先に様々な色を散りばめた着物を羽織る、あの日の狐の少女が立っていた
ーここまで来たら、あとは罠にかかるだけ
世界は真っ暗になり、意識も途切れた
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