今日こそはと決意をしているのである。
謎の本を開いてみることにした私は現在、自室の机に鎮座している本と向かい合っている

本のタイトルは、日本の花々と四季折々の花言葉
んんん、花は好きだけど買うほどでもないし。
見れば見るほど私が持っていそうな本ではない

ならば借りたのだろうか。借り物なら読めない状態にしてしまった…
ーこの本の背表紙に白い指先を届かせようとする、水色が脳内を横切る

なに…?今の。
あんな人知らない、いやあんな記憶すら私は知らない。
なのになんだかすごく懐かしくてすごく大切な気がする

赤色が見える。
顔は見えなくて声も聞こえない。
けれど赤色が泣くのを堪えているのはなんだかわかって、ごめんね、と思うのと同時に手のひらを翳されてぷつんと途切れる


「…とりあえず開いてみるか」


意を決して表紙に指を滑らす。
赤黒いバツ印は血だったらと思うと怖いはずなのに、コレは抵抗なく触れた。
母さんはどんなに力を入れても開けなかったこの本
自然と力みがちになってしまう


「よし」


ハードカバーの、少し大きめの本。
丈夫そうな表紙は呆気なく開いた


「ひぎゃッ!?」


瞬きする間もなくうねうねした黒いモノが飛び出てきた。
なんだこりゃ!?
よく校内で黒いもやもやしたモノを見かけるけど、コレはそんなにぼんやりしたものでもなくはっきりしてる
ミミズみたいでかなり気持ち悪い

なぜか私を敵とみなしたようで、此方に飛びかかってきたミミズを防ごうと両手を前に出す
咄嗟に頭の中にまっくろくろすけを潰すあの女の子が浮かんできて、


「おりゃ!」


ばちん


「………あ、れ?」



returm next




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