暑い中外に出るのは好きじゃない。
室内でのスポーツに徹していたせいか肌は黒くないから日焼けしたら痛みを伴って赤くなる
だらだらと汗が流れるのも嫌いだ。
夏は冷たいアイスがいつもより美味しく感じられるだけの季節。
特に楽しみはなくて、だから嫌い
そんな中、嫌がりもせずに外出した理由
「あ、久しぶりー」
「紫原くん!」
白昼の強い日差しに応えるように反射する紺青。
けれども深い色味を持ったそれは痛いほどの輝きはなく優しく灯っている
「久しぶりッ、久しぶり紫原くん!」
「うんうん、わかったから落ち着いて名前ちん」
「早かったな」
「赤ちんに呼ばれて遅れるほどバカじゃねーし」
相変わらず低い位置にある柔らかな髪を撫でる。
名前ちんと会えたのは二回。
名前ちんを見たのは何十回。
それだけでも俺の記憶に残るには充分だった彼女。
俺の記憶には残っていたのに、彼女の記憶から俺たちは消えてしまった
現実から逃げるように秋田へと行った。
夜空の瞳から溢れる涙が流れ星みたいなのにカオは苦しげに歪められていて。
とても気持ちのいいものではなかったから思い出したくなかった
「名前が好きそうな店を玲央から教えてもらったんだ。甘いものもたくさんあるよ」
「私甘いもの好きだって言ったっけ?」
「いいや、なんとなくね」
「赤司くんはなんでも知ってるね」
「そんなことないよ」
「玲央先輩のお勧めのお店かぁ。お洒落なお店なんだろうな」
赤ちんと二人で歩く姿は絵になっていて、それでも俺は彼女に手を伸ばしたくなる。
もうあの瞳から流星が落ちないように。
与えられた力に首を絞められて苦しまないように。
あんな悲しいだけの出会いと別れなんかしなくて済むように笑わせてあげられたら
「ねえ名前ちんー違うの頼んで半分こしよーよ」
パッと華やぐ紺青の笑顔に、俺は誓う
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