花宮さんと呼ばれた彼は確実に今、私の目を食べたいと言った。
「……、え?」
「だから言ってるだろ、俺はアンタの目が喰いたいんだよ。声が媒体になってるとはいえ、その人間ならざる色の瞳ならそこに多少なりとも力は宿ってるだろ」
目を、食べる…?
現状がよく理解できない。
花宮さんの手が私の左目に伸びてきて、もう視界が彼の手のひらと笑う口元しか見えなくなって─
「彼女には天狐の血分けをしてある。少量とはいえ僕の血が入っているんだ、僕の配下ですよ」
パシン
肌と肌が冷たくぶつかる音がして私の視界は赤司くんの背中になった。
頭にあたたかい手のひらが乗って見上げれば紫原くんが微笑む
「そんなこと言われてハイそうですかって渡すわけないじゃん。アンタに喰わせるくらいなら俺が喰うし」
ん?
ちょっと待ってと思った私は間違っていないはず。
おかしい。この流れで紫原くんの発言はおかしいよ
「お前達の許可なんて必要としてないんだよ、バァカ」
「そうは言っても天邪鬼如きで僕たちをどうにかできるとは思えませんが?」
赤司くんから少し重い空気が流れ出して花宮さんは舌打ちをした。
花宮さんは天邪鬼なんだ…だからさっき同種の鬼である玲央先輩のこと言ってたんだな
「まあ今日はたまたま気配がしたからちょっかい出しに来ただけだからな。またその女に隙があるときに狙うとするよ」
「あッ…あの!」
存外あっさり立ち去ろうとする花宮さんを呼び止める。
赤司くんの背中から抜け出てきちんと彼と対面する。
青峰くんや紫原くんほどではないが、花宮さんも背が高い。
目線的には今吉先輩と同じくらいだろうか
「私、名字名前っていいます」
「…はあ?」
「この力も目も、全部彼らのために在ると私は決めたんです。だからあなたにあげることはできません。でも」
何か出来ることあるなら、力になります
まっすぐ見据えて告げれば今までのどこか嫌悪を含んだカオじゃなくて、年相応の驚いた無防備なカオをした
「ふはっ、アンタが厄介なのに気に入られてる理由、わかったわ」
幼い笑顔で私の目元の紅をやわらかくなぞってから彼はさっさと歩いて行った。
彼の姿が消えた途端に赤司くんと紫原くんに抱きしめられ、若干のお説教を頂いてしまった
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