夏を簡単に通り過ぎることを許さないとでもいうように、九月に入っても日差しは和らがない。
この時期の体育は地獄だな
バレーボールだったため日焼けの心配はなかったが、しかし何分暑い。
更衣室で念入りに汗の処理をしてから教室へ戻る生徒の波にのる
「名前大丈夫?」
「ん、平気だよ。ありがと」
余程疲れた顔をしていたのか友人に心配され、覗き込まれる。
多少の疲労はあったが水分補給をすればすぐ回復するだろう、ニコリと笑んでみせた
「ひどい顔してるから心配しちゃったよ」
「なんだとー」
軽口を叩く友人に返しながら名前はおもむろに固まる。
「名前?どうした?」
不自然に止まった名前に声をかける友人である彼女から、黒い靄が。
瞬きをする間に艶やかな黒猫になって、ソレはニャァンと甘えて友人の足に纏わりついた。
しかしそれすらも友人には聞こえておらず、足に擦り寄る猫にも無反応だ
─アレは呪っていうんスよ。対象者に不幸をもたらすためのモノっス
以前、黄瀬と緑間に教えてもらった呪。
それが今友人に取り憑いている
「ちょっと、名前」
目の前をひらひらと細い指が行き来して名前は意識を取り戻す
「ごめん、何でもないよ。私ちょっと用事あるから先に行くね!」
戸惑う友人を置いて、彼女は青峰の元へ走り出した。
まさか自分ではなく友人にナニか憑くだなんて思わなかったのだ
愚かな彼女の誤算
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