具体的な祓いの流れを教え込み、とりあえず有坂の教室まで送る。
彼女は何回も手を振ってはにかむ
慣れない反応に戸惑うも、なんだかほだされて手を振り返せば、名字が見えなくなったあとさつきにバカにされた
「大丈夫かなぁ名前ちゃん」
「アイツが直接触らなきゃ放課後までは平気だろ」
そう。
役を終えていないのなら、呪は触らなければ害はない
現在の存在理由は対象者に不幸をもたらすことだ。
それに干渉さえしなければあとは自分達で祓えばいい
「祓い自体はアイツにやらせるぞ」
ちょうど紫原から話を受けていたのだ、アイツ自身にも意思のある妖怪を祓うという経験を改めてさせた方がいいだろう
悪意のある妖怪を祓うこと──
彼女がかつて害を与えてきた灰崎を一切責めなかったことは間違いなのだ
もちろん手を出そうとした天邪鬼も鵺も、絶対的な力を以って理解させなければならない
妖怪として生きるということは、甘くはない
空き教室に呼び出された名字の友人は不思議な顔をして彼女を見つめている。
外傷はない
まだ憑かれて間もないんだろう
好都合だ
案外早く厄介事にケリを付けられそうで口角が上がる
「急にごめんね」
「いいけど…どうしたの?本当、今日変だよ名前」
心配そうにする友人に対してもう一度ごめんねと謝る、細い糸のような声。
別に何か悪いことをするわけでもやましい事があるわけでもない
そこまで彼女が申し訳なさそうにする理由などないのにと思うが、それが彼女だ。
まっすぐで弱々しくて、だけれど芯はしっかり持っていて。
だから俺たちはこんなにも惹かれる
『ちょっと眠ってて』
力が使われる。
己に向けられたわけではないが、どうにも反応してしまう
彼女の力には緑間と同じく制限があるらしい。
効力をもたらしたい相手が名字を認識し、彼女と目を合わせて有効範囲内でいること
すべてが万能とはいかない
「青峰くん、さつきちゃん」
「行こ、青峰君」
「へいへい」
キラリ
紺青がいつもより輝いた気がして、そういえば彼女が力を使うところに立ち会うのは初めてだった
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