狼の姿のまま青峰はいまだ名前の前に盾となっている。
呪の黒猫は本能で青峰に敵わないことを心得ているのか威嚇の体勢をとるものの動かない
驚きで絶句していた名前も意識を取り戻す
『あ…消え、なさい』
おそるおそる出された声には確かな力が宿っていて。
狼越しに見えた黒猫はすばやく雲散していった
「お疲れ様!名前ちゃん」
「さつきちゃん…」
名前に祓わせるということの意味
それを理解して傍観に徹していた桃井が彼女に歩み寄る。
ふわりと優しい香りがして、名前は目を細めた
「大ちゃんの狼姿は久しぶりに見たけど成長したねー」
「本体が成長してんのにコッチが小せぇままなわけねーだろ」
フン、と鼻を鳴らしてキチンと尻尾を体に巻きつけて座る
「あ、青峰くん、なんだよね?」
「そうだよ。名前ちゃんはみんなの妖怪姿見たことなかった?」
「うん…赤司くんの尻尾なら見せてもらったことあるけど」
獣になっても鋭い眼差しはそのままで、横目に捕らえられた名前は心を踊らせる
かっこいい…!そしてもふもふだッ
目は口ほどに物を言うと云われるが、今の彼女はまさにそれで。
どうにもこうにも彼女を甘やかしてしまう傾向に陥りつつある青峰。
彼女の白桃のような頬をペロリと舐めて鼻先をくっつけてやる
「ふわふわだぁッ…」
紺青を喜びに輝かせて、逞しい首元に腕を回して飛びついた。
柔らかい耳元の毛を堪能しながら精悍な目を間近から覗く
彼の濃い群青は変わっておらず、相変わらず美しい。
灰色と白の混ざった毛並みとよく合っていてより眼光が引き立てられている
「役得ね、大ちゃん」
少しばかり面白くなさそうな色を滲ませる桃井。
照れているのか嫌におとなしい青峰をかまうことなく名前は彼を可愛がっている
「あ!赤司君にはキチンと報告しておくからね」
やけに楽しそうな幼馴染みの言葉に、狼は体を強張らせた
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