友人に呪をかけた人物は彼女の恋人を好いていた子だった。
意識的にかけたわけではなく、友人を羨むあまりに出た欲望や独占欲などが強すぎて、形になってしまったらしい


「だから警戒するこたぁねーな」


くあ、と欠伸をする。
狼姿の青峰くんを見てからというもの、ふとした仕草などが狼にしか思えない。
つまりとても可愛い。


「でもまた憑いたりしないかな」


それが心配である。
今回うまく祓えたからといってまた憑かない確証はない。
祓えばいいだけなのだが呼び出して眠らせて、起きたら気絶してたよなんて言われても納得できないだろう


「大丈夫だ」


カバンを持つことすら面倒そうな顔をして青峰くんは言う。
ちなみに今は部活に出ないという青峰くんに送られている最中である

さつきちゃんに説得してほしいと泣きつかれたが、彼の中ではもう私を送り帰ると決定していた


「あの呪はちょっと抵抗したけど名字の一言で消えただろ」
「うん」
「シブトイのはもっと強い抵抗してくンだよ、それこそ攻撃してきたりな」
「あ…」


そういえば赤司くんと会った時の黒蛇は手こずったような


「そこまで本気で相手を怨んでたわけじゃないんだろ」
「…そうだと、いいなぁ」
「呪がすぐ消えたってことはかけたヤツの怨みも消えやすいもんっつーことだ」


そういうものなのか
彼の話に感心しているとカバンから長い振動が伝わってきて、慌てて取り出す


「ごめん、赤司くんから電話だ」


出ていいという意味なのか青峰くんに軽く頭を叩かれた。
彼のコレはクセなのか子供扱いしているのか、よくやられる。


「……子供扱い?」
「ちげーよ」


むくれて見上げると何がおもしろいのかクツクツ笑う。
青峰くんの笑顔は、とても好きだ


「ほらさっさと出ろ、俺がどやされる」


誤魔化された。
怨みがましい目をすれば目尻をなでられる


「…もしもし」
『こんにちは。今は大輝と一緒かな』
「そうだよ、よくわかったね。代わる?」
『いやいい。大輝には直接連絡するからって伝えといて』
「ん」


電話の内容が聞こえたのか口元を引き攣らせる青峰くん。
なんでだろ、バスケ部同士でよく電話とかしないのかなぁ…


『用件はすぐ済むんだけれど』
「あッうん」


電話越しに聞く声はいつもより低く感じて、甘い中にも艶めかしさがあって、困るくらいにうっとりしてしまう


『今月の三連休そちらに帰るんだ。君の都合が良ければ会おう』
「ほんと!?再来週だよね、確か予定ないから全部空けておくね!」
『それは嬉しいな』


嬉しさのあまり握りこぶしを作って言えばそれが伝わったのかさえずるように笑われる


『あと』
「ん?」
『今度会ったら僕の妖怪姿も見せるから、不用意に他の奴らに触ってはいけないよ』
「…うん?」


それじゃあ
途端に無機質な音が繰り返され始める。
どういうことだろう
青峰くんを見上げれば彼は肩をあげて口をへの字に曲げた



returm next




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