機会にめぐまれなくてそれまで彼らの公式試合を見たことはなかったけど、初めてのスポーツ観戦はとてもおもしろいと思わせてくれる才があった。

どうやら灰崎くんと黄瀬くんは因縁の仲だったらしく、挑発的な黄瀬くんの表情に少しドキッとした

あんなカオも、するんだ…

どんどんみんなの色んな部分を知っていく。
どんどん近づいていく。
その事実になぜかわきあがる強い気持ちがあって、それが自分のものではない気がして、戸惑う。
この現象は先日襲われてから不意に起こるようになっていて…


「名前ちゃん?」


不安げな思いが顔に表れていたのか気づけば目前いっぱいにさつきちゃんが映る


「…ううん、なんでもないよ。それより黄瀬くんに会えるかな?」
「大丈夫だと思いますよ。名前さんを見つけたら尻尾振って寄ってきますから」


黒子くんの言い草に大げさだなぁと笑いながら暗くなってライトアップされている会場を見上げる

いつもはさつきちゃんと青峰くんの三人でいるのにいつの間にか消えていた青峰くんにより、黒子くんとさつきちゃんという初めての組み合わせだ

青峰くん、どこに行っちゃったんだろ…

私の中には赤司くんの天狐の血が流れていて、見えないモノで繋がっている。
だからか目を瞑ると彼の背中が思い浮かぶし、それに触れたいとも思う。

ただいつも隣で守ってやるよって強気に笑う青峰くんがいないのはこんなにもさみしいのか、だなんて。


「あ、名前ちゃん、きーちゃんいたよ!きーちゃーん!」
「、桃っち!…に名前ちゃん!」
「黄瀬くん」

名前を呼んでひらひら手を振れば海常と書かれたジャージを着た青い軍団の中から黄色が飛び出してきて、ぎゅっと手を握られた


「久しぶりっス!メールとか電話はしてたけど、やっぱ会いたかったから!今日来てくれてすっげー嬉しいっス!ねえねえ試合どうだった?俺のこと、見えた?」


矢継ぎ早にくり出される単語についていけなくてなんだか目が回りそうになる。
とりあえずかっこよかったし試合観てて楽しかったよと言えばぎゅむっと抱きつかれた


「セクハラですよ黄瀬君」
「ギャッ!黒子っち!」


びっくりした衝動がこちらにまで伝わってきたからなだめるように彼の背中を撫でる


「お疲れ様です黄瀬君。…とうとう準決勝ですね」
「当たり前っスよ。リベンジ果たすためにここまできたんスから。やっとすぎて、待ちくたびれたっス」


いつの間にか真剣な面差しで向かい合ってて、男の子っていいなぁ。


「名前ちゃんは明日、観に来れる?」
「あ、ごめんね…明日は試合観に来ないでって赤司くんに言われてて、午後から赤司くんと会うの」


残念という気持ちと疑問の浮かぶ表情をして黄瀬くんは無理やり納得したようだった。
黒子くんとさつきちゃんはなんだか妙に深刻な顔をしていて…ああきっと明日私が赤司くんと会うことは私のコトなんだろうなと理解した。




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