わずかに緊張している気持ちを自覚しながらジャージに手を伸ばす。
ウインターカップの最中であるため、会場へ向かう準備をする。
今日は涼太とテツヤのところか
当時からの約束のひとつであるキセキ同士の戦いを彼女には見せたくなかったから、自分の試合には呼んでいない
大輝や涼太などは知らないが、他の面々が誘うとは思えないためあまり妖怪たちと接触していないだろう。
不用意に妖怪と接触して取り憑く妖狐を刺激したくない
件の予言が為されてソレを破ろうとした天狗、僕に視えた彼女を危機を報せる未来
ほぼ、僕の予測で今までの事柄の筋は通っていて正しいのだろうが、そうであってほしくないと思う。
ソレが彼女にとって良いものではないのだからなおさら
指先に触れた将棋の駒をピッと人差し指で弾けば、窓に当たって床に転がる。
うまく転ぶか、コロリと雪崩れるか。
待ち合わせ場所まで歩きながら毎日会えるわけではない彼女と会えることに喜びで緊張していた
九月に会ってから会えていなかった。
たった三カ月だが、されど三カ月と感じるほどの空いた時間だ
待ち合わせ場所に佇む彼女を視界に捉えてドクリと動く心臓に、僕らしくないと苦笑する
「待たせてしまったかな。久しぶりだね」
「…赤司くん!」
パッと振り向いて喜びを素直に表す彼女に自然と顔は綻ぶ。
時間は午後一時。試合は午後四時から。
「寒かっただろ?すまなかったね」
「ん、平気だよ」
右手で頬を軽く擦るように触れればやはり冷たい。
同じ天狐の血が流れている本能からか彼女自身の意志か、僕の指にすり寄って頬をくっつけてくる
望み通りやわらかな白い頬を撫でてから彼女の右手をさらう
「話は長くなりそうなんだ。どこか入ろうか」
「わかった。赤司くんと一緒にいるの久しぶりだね、嬉しいなぁ」
僕もだよ
そう思うのにこれから話す内容の所為で、うまく、言葉が出なかった
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