謎解きはつまらないかもしれないね


反応を伺うため言ってみれば予想していたのだろう、そんなことないよとゆるり、彼女の優しさをカタチにしたような笑みが返ってくる。

彼女とはちがう、関節の節々が主張していていかにも硬そうな己の指を組む。


「何から話そうか」
「私の力のことなら大体自分でもわかってるよ。だから、赤司くんの考えをきかせてほしいな」


よくあるチェーン店で飲み物を買って、騒がしくて互いの声もあまり通らないような環境の中で、彼女はコーヒーとは言えない甘くて仕方ない飲み物を包み込んでいた。

よくそんなものが飲めるなと言えばまぁ予想通り、ブラックは飲めないのと照れくさそうに笑った。
彼女がキャラメルマキアートと迷っていたため結局僕も甘ったるい物を持ってはいるが。


「今日僕が話すことは三つ」


一つは、君の瞳のこと
二つは、襲ってきたモノのこと
三つは、君と僕は以前にも出会っていたということ

彼女は少しきょとんとする。


「……私、赤司くんと会ってた…?」


陶器のカップを真白い指先が包み込んで握りしめている。
驚きに紺青の瞳をまたたかせて、絹糸のようになだらかに引かれた目尻の紅との色彩に惚けた


「でも、私さすがに赤司くんくらいの人だったら子供だったとしても覚えてると思んだけど…」
「会ったのは僕であって僕じゃない自分で、さらに姿がちがったんだよ」
「赤司くんで赤司くんじゃない…?」
「そうだな、」


考えながら言葉を選んで己の生き様を話す。
公園で会った子狐のことを話したら彼女は思い出したように瞠目し、少しその紺青が強くなった


「あ、あれ赤司くんだったのッ…!?」
「ああ。僕自身も君に対して既視感はあったんだが、なんせ幼少の頃だったから。遅くなったけれど、ありがとう」


君を支えにしてここまで来れた。
一回それは折れてしまったけど、入れ替わったってその思い出は共有されていて、大切なままだった


「わああぁぁ…ご、ごめんねぇ抱っこしたりしちゃったよね私!」
「いや。あの時はあれが救いだったから気にしないでくれ。きっと今は立ち位置が逆だろうけど」


そして僕が彼女のことを思い出したきっかけは血分けだ。
血分けによって彼女は僕と、互いに一部を共有し合う関係になった

あの件のあとに彼女と触れ合うことはなかったため、インターハイで再会し彼女に触れたタイミングですべてが蘇らされたのだ。

彼女の握るカップを奪って、代わりにキャラメルマキアートの入った器を渡せば、はにかんで口付ける

本当に僕は、昔から君に助けられてばかりだね




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