気づけば真っ暗な闇の中にぽつり、灯りがともっていた

なんだ?

名前が目を凝らせば、狐の少女の俯きがちに立っていて、その後方から黒い地面が毛羽立ち、認識する前にけたたましいまでの雨音が弾ける。
暗闇なのに雨が降っていた。

因縁の涙のようだと思った。


「おばあちゃん……」


クスクスと微睡むように笑って、ちりんちりんと鳴りながら飛ぶ蝶々が赤く舞っていて。
雨立ちを連れてくるかのように狐の少女が前進すればそれもついてくる


「あ、」


逃げなきゃ。
今ここで私が自分勝手に動いて償うために死んだりするよりも、巻き込んだみんなを探して助けなきゃ


弧を描く口元に鳥肌を立てながら震える足を叱咤して、ソレから背を向けてなんとか走り出す。
その方向が正解かどうかなんてわかるわけがない
けれどあのまま接触するわけにはいかないと本能が強く主張していたのだ


「名前!」
「…ッ!?」


パシリと捕らえられた右手のぬくもりに叫び声を上げそうになるが、この暗闇でもなぜかハッキリ見える赤司がそこにいた


「あか、赤司くん…!」
「俺も今はわからない、だが捕まるべきではないことは理解できている。逃げるぞ!」


黛ではなく紫原に喰わせるべきだったか、と悔しげな独り言が聞こえた。



紫原敦《むらさきばら あつし》
ガシャドクロという妖怪を先祖に持つ。
妖怪でも妖気のみでも血でも毒でも、妖怪に関するものならなんでも食べれる。
その人物の中にある特定の妖気のみ食べたりすることも可能
大抵は指先や体から妖気を髑髏の形にして対象者を通り抜けさせることで喰っている


ガシャドクロ《がしゃどくろ》
武者や戦死した者たちの魂が寄せ集まり、大きな髑髏として動きさらに同じような魂を喰らう妖怪。
歩く度にガシャガシャと骸骨がぶつかり合う音が鳴るためこの名称がついた。



黛千尋《まゆずみ ちひろ》
影喰を先祖に持つ。
妖怪の宿し方としては緑間と同じく、己の影に影喰の妖怪住んでいて、直接体内に血や魂が流れているわけではないが、切っても離せぬ関係。
彼も己の影が自由に動き他人の影に干渉できると軽く認識しているだけで、特に妖力を使用していない


影喰《かげくい》
他者の影に干渉し、その本体を操ったりその影に潜む妖怪を暴き出せる力を持つ。
しかし夜は活動出来ない上に影に干渉し意のままに操れると言っても本体が有効範囲から外れたら無効になるため、力としては弱い妖怪。




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