「心を食べる?」
紫原くんとの久しぶりの長期休暇は妖怪関係に消えそうだと直感して、真夏なのに鳥肌が立った。
秋田から帰ってきて過ごす貴重な夏休みのうちの一週間の始まりの日に彼は私の部屋に来て言った。
どうやらここ最近に現れた妖怪が問題だ、と
彼と同時に突き始めたアイスは、私がまだ半分もいかないくらいなのに紫原くんは三個目に突入しようとしている
新幹線での長旅に疲れただろうに、紫原くんはまっすぐ私の家へと来てくれた。
お土産、と言われて差し出された目一杯のアイスは冷凍庫に入れる間もなく彼が消費していく
「どういうこと?」
「んー…俺もよくわかんないんだよねぇ。赤ちんから連絡来てて、みどちんが予知したらしいよー」
「緑間くんが?」
「そ。見たことのない姿をした妖怪が、何もない空間にかぶりつくとこ」
「え」
それって
「まぁみどちんに見えないのは白雪ちんだけだから、そういうことなんだよね」
思わず絶句する。
詳しく聞いてみると、最近都内でよく『空っぽ』になった妖怪を黒子くんと緑間くんたちが見かけていたらしい。
もとより低級の妖怪には知識や心はないが、ある程度の地位を持った妖怪たちがセミの抜け殻のように、壊れているのを見かけるという。
「俺もそんな妖怪見たことないんだよね。そもそも、喰うタイプなら、俺と同じだから知ってるはずなんだけど」
木べらのスプーンを咥え、不機嫌そうに紫原くんは言う。
長い前髪がその表情を隠すから除けてやれば、彼の険しいカオも和らいだ
「どんなヤツか知らないけどさ」
「うん」
「俺が食べたことないの喰ってる妖怪なんて気にくわないから、ヒネリ潰すよ」
だから安心して
とても大きい手のひらが私の頬をおおってくれるから、私は身の危険が近づいても落ち着いていられるの
紫を選んだ彼女の夏──
ALICE+