妖怪の血や妖力・魂までも喰べれてしまう紫原くんは、要は妖怪同士の階級も飛び越えてしまえるらしい
もちろん赤司くんや緑間くんなどは喰べられないが、中学生の頃に私を助けたように、抵抗さえされなければ喰べれると
「でもガシャドクロって稀有ではあっても、紫原くんだけじゃないんでしょ?ならガシャドクロの可能性も、」
「そうだけど、問題は俺と同属かそうかじゃないんだよね〜」
「?」
喰べる妖怪なら、限られてくるのではないのだろうか
「俺の喰べ方は、妖力を模して対象者を通り抜けて喰う。だから、『心』なんて喰う必要ないんだよ。妖力さえ喰べちゃえばそれでその妖怪は終わりだし、血でもいいわけだし。故意的に、その妖怪が『ある程度の妖力を持った妖怪の心』を欲してることが一番の問題」
ん〜ごちそうさまぁと言って、彼はアイスのゴミを綺麗に片してくれた。
妖怪の、心
それを必要とする妖怪
そして緑間くんの見た予言
ぞわりと、粟立つ肌を鎮める方法なんて、知らない。
緑間くんはきっと今日、紫原くんが私と会うことを知っていたから、私に連絡して来なかったんだろう。
ならば、これは、これからの未来に起こること
わかりきっているけど恐怖を感じた。
生かしてもらった命だ。
それを失うのが、
「……怖い?」
「ッ!」
言い当てられて肩が竦んだ。
生にしがみつく姿は醜いかもしれない。
けれど、私は生きたい
「う、ん…怖い。とても、とても」
「そう言ってくんなきゃ俺も困っちゃうしね〜。じゃ、早速行こうか」
「…へ?」
垂れ目がちな目がさらにゆるやかに下がって、紫原くん特有のゆったりとした笑みを見せてくれた
「みどちんが俺の予知もしてくれてたんだよね〜。だから今日行くとこはもう決まってたの」
腕を引かれて、立ち上がる
「…うっわ、ほっそ。白雪ちん、ちゃんと食べてる?」
「たっ、食べてるよ!夏バテ知らずなんだよッ」
「何の自慢ー?俺もしたことねーし」
両親は平日も仕事だからそのまま家を出る。
でも紫原くんは律儀に「お邪魔しました〜」と言ってくれた。
可愛い。優しい。
心がそんな気持ちで満たされる
「…敦くん」
ぴくり、大きくて高いところにある肩が揺れて、止まった。
どうしたのだろう?
「…別に、照れてなんか、」
顔を覆う手までが血色が良くなっていて、熱が私にまで伝染する。
さりげなく日陰を歩かせてくれたり、虫を除けてくれたり、不器用な思いやりに笑みがこぼれた
ALICE+