紫原は己の妖力を頭の中で巨大な骸骨をイメージし、具現化させた
「わっ」
「コレ、俺のだから安心してね白雪ちん」
灰崎に襲われたときに、犬神に唆された靄を食べたものと同じ骸骨だ、と白雪は思う。
圧倒的で大きな力
「じゃあ。喰っちゃって〜」
そう言って長さのある腕をゆるく動かせば同じ方向に巨大な骸骨も向かって行く。
真っ黒い骸骨が体育館一つ分ほど、敵に向かって行くのは壮絶な眺めだった
しかし、そう思っていられるのも一瞬だけ
「…ッ!?」
「敦く、」
ん、と最後まで言えずに、白雪は尻もちをついた
「ねえちょっとー…俺と張れるなんて聞いてないんだけど?」
紫原の作り出した妖力の骸骨は確実に獲物を齧った。
そう、齧っただけ。
半分は捨てるつもりだったのだろう、齧られた部分のみを分離させ気味の悪いソレは白雪の前に現れた
ひやり、と紫原の背筋に汗が垂れる
即座に紫原本体はその出来事に反応するが、妖力の塊は付いていかない
これこそが、紫原の二つ目の弱点。
地位の高いものは喰えない
そして
「がシャドクロがトロイのハ把握済ミだよ」
「……クソ餓鬼が」
紫原は白雪を少し離して後方に置いて守っていた。
その隙間に入るソレは、紫原をバカにしたように言う
紺青に大きく映るのは様々目玉、口、頭、腕、動物のような何か、臓物。
「ひっ…」
嫌だと。
こわいと。
本能が叫ぶ
「お前如きが触るなよ!」
わずかに出遅れた紫原の腕が届く前にソレは白雪を傷つけ、そして──
「ギィッ…!」
「!」
紫原と同じく、だが少々小ぶりな、黒の骸骨が白雪から出て、禍々しいソレを喰った
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