白雪の使う力で牛鬼のなり損ないを喰らえば二人は強制的に現実世界に戻された
三つ、四つと続く架空の十字路はもうなく、二つ目の人寂れた白昼の道路に座り込む白雪、佇む紫原。
尻もちをついたまま無防備にさらけ出された真っ白な柔らかい太ももを目にして、紫原は不純の詰まった固唾を呑む
──…別に、何も邪なことしようとか思ってねーし
心で誰かに言い訳をして、ため息をついた
「……白雪ちん。立てるー?」
「あ、えぇと、うん」
ありがと、とかなり高い位置から伸ばされた腕にしがみついて立ち上がる。
その足は少し震えていて彼の庇護欲をそそったし、無意識に当てられた普通より大きめの胸は加虐心を煽った
だめだ、のまれてどうすると。
自制をかけるが己と同じ血を分けた者から流れる妖力を秘めた血の香りのせいで、それすら危うい
「ケガだいじょーぶ?」
「結構グッサリきたんだけど…紫原くんの力のおかげかな、治りが早いみたい」
「人間に比べたら早いからね。応急処置だけで済みそー。ハンカチある?」
「うん」
ケガをしていない方の腕のみで鞄をあさるためもたもたと普段より時間がかかる。
そのことに焦れたわけではないが、彼女の腕の傷を舐めた
「ちょっ…敦くん!汚いから!」
「俺の分けた血が汚いって言っちゃう〜?」
「そ、そういうことじゃないって…」
基本的に傷口は汚いだとか人がいるかもしれないだとか、もごもごと白雪は口を動かすが、熱いまでのぬるりとした彼の舌が、ただでさえ夏で上がっていた体温を上げてきて気持ちいい
なんだか知らない領域に、心が踏み込んだようだ、と。
白雪は彼の舌の動きに甘えた声を出しながら考える
「…抵抗しないならそのままヤっちゃおうかー?」
「ッ!」
ウブな彼女にもこの紫原の発言の意図に気付き顔を真っ赤に染めた
「ひ、人前だよ敦くん…!」
「じゃああっちの路地裏行こーかぁ」
「きゃ…」
突然方向を変えて歩き出した紫原のせいで、白雪はよろける。
その甘美な香りの、しかし天狐の躾が行き届いてしまっている己の配下の彼女が。
愛おしくも、だからあの時峰ちんに注意したのにと、苛立ちを覚えた。
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