今日は待ちに待ったデート、である。
初デート。
悪い意味で緊張している
だってあの黄瀬涼太だもの
今はモデルよりバスケに専念してるとはいえ、一時雑誌にだって出ていたらしいのだ。
中学生時代、特にファッション誌などに興味がなかったため、友達から回ってきたのを流し読みしていただけで。
だから彼の雑誌での存在に気がつかなかった
待ち合わせよりやや早めに着いたが、当然彼はいない。
そのことに少しほっとする。
神奈川からわざわざデート場所を東京にしてくれた。
中間地点でいいよ、と言ったのだが、折角だから都内まで出たいと。
おそらく私に気を遣ってくれたんだろうなぁと約束をした公園での出来事を思い出し、ひとり赤面する
「…早く会いたいなぁ…」
勝手に出てきた本音。
携帯で時間を確認してみるも、待ち合わせ五分前。
そろそろ周りを気にし始めてもいい頃合いだろう、と思い道行く人々を見渡していると、彼は派手な登場をした
「白雪ちゃん!ごめん!」
大慌てで走ってくるなり、その大きな体を屈めて私にお辞儀をした。
それにより、視線が集まる
「ちょッ、涼太くん!」
「ほんとーにごめんね!白雪ちゃんより早く来ようと思ってたんだけど、楽しみすぎて昨日寝れなくて!電車で寝過ごしちゃったんス!」
パン!と両手を合わせて謝る涼太くんにクスクスと通り過ぎる人が笑う。
「お、怒ってないから!ね?恥ずかしいから顔上げて」
「本当?」
「ほんとう」
ゆっくり言えば、やっと彼は顔を上げいつものすらりと立った。
……うん。わかっていたけど、制服やユニフォームと違って、なんだか。
「大人っぽいね」
「え!?」
思っていたことを涼太くんに言われ動揺する
「や、私服の白雪ちゃん。大人っぽいなぁって…」
「あ、わ、私も、同じこと考えました…」
「え」
二人して赤面し、固まる。
いつまでも待ち合わせ場所で何をしているんだろうか
彼もそう思ったのか、おもむろに手を取られ歩き出される。
「わっ」
「人混み、気をつけてね」
「……ん」
繋がれた手が、耳が頬が、身体中のみんな熱い。
こんな骨ばった手をしていたっけ?
意識し始めると止まらない。
「このあとどうしよっか」
「…私は、特に…。ごめんね、初めてでどうしたらいいかわからなくて」
「いや、俺こそごめんね。昨日めっちゃ考えたんスけど、映画も今やってるのどれもつまんないし。買い物も、カフェとかも見たけどピンとこねーってなっちゃって」
「ふふ、涼太くんでも迷ったりするんだ、デートに」
「そりゃ迷うっスよ!そもそも俺だってこんなデート初めてだし!中学ン時はバスケ部のみんなと遊んでばっかりだったから…あーもう…」
「じゃあちょっと落ち着けるところでお話しようよ」
「…それでいいの?」
「そうしたいの」
それなら、と涼太くんが行き先を決め歩き出した。
初めてのデートは手探りで、何か特別なことをしたわけでもないのになんだかとても楽しくて、ああ私はこの人が好きなんだなぁと再確認した。
食べきれない美味しそうなケーキを半分こしたり、案外子供っぽい飲み物を頼む涼太くんに笑ったり。
何でもないことが私たちの間にある隙間を埋めてくれた
こうやって、また何度も一緒にいる時間を重ねていこうね
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