彼女の瞳の能力を喰らった時の気持ちを何と言おうか、己の言葉では表せない、と黄瀬は思う。
「集まってくる雑魚は紫原と青峰で倒してくれ。俺と緑間は結界を張ろう」
赤司はそう言い着々と黄瀬と白雪の血分の準備をしていく
白雪は赤司の力により眠らされている。
これから妖狐を剥ぎ取り紫原に喰わせるのだ、起こしておく必要はない。
もう受け入れるしかない
一度瞳を閉じて、協力してくれる面々を見る
「みんな、」
「おい黄瀬。謝るなんてうざってェことすんなよ。有坂が望むからしてる。お前もそうだろ」
青峰が黄瀬を嗜めるように言う。
黄瀬は負い目を感じている、キセキや黒子の面々に。
選ばれただけでなく快く協力してくれることがまた罪悪感を増長させるのだ。
理解しているが、うまく笑えない。
ありがとうと、言えない
「礼ならいらないよ」
「!」
「これで白雪が無事に生きてくれるなら、俺は…俺たちはそれでいいさ」
「そーいうこと〜」
「そうですよ、黄瀬君」
これほどまでに、妖怪でいてよかったと思えたことがあっただろうか。
君が現れた日からいろんなことが動き出して、離れてはくっついて。
そんな中で変わらないものを見つけられた
「…がと。ありがとうっス、みんな…」
親指を深めに噛んで、そこから溢れた血を白雪の口元へと持っていく。
零れる赤い妖力を持つソレを、彼女の喉が飲み込んだのを見て、黄瀬は白雪の片目へと手を翳す
彼女の体をめぐる己の妖力から瞳に募る力を抜き取るため集中する。
彼女自身の受け継がれた力
すっ、と引っ張り出すようにすれば、妖力の塊が己の中へと取り込まれていった
これで彼女の片目から、色彩は生涯失われてしまったのだと、不意に喪失感に襲われた
ALICE+