ソファに隣同士に腰掛け、桃井は白雪の大きく膨らんだ腹に触れる。
「わー、もうこんなに大きくなったんだ」
「ふふ。そうだよ、早いでしょ?」
「うん。まさか白雪ちゃんときーちゃんの子供が見られるなんてなぁ…ねえ、もうどっちか聞いた?」
「ううん、楽しみに取っておきたくて」
「そうなんだあ…いいねぇ、みんなに待ち望まれてるよ。早く元気に生まれてきてね」
優しくやさしく、願いを込めて白雪の腹を撫で続ける。
血分を行い共に在ることを決めてからの黄瀬と白雪の交際は順調に進み、先日籍を入れた。黄瀬のことだから派手にやるだろうと思われた結婚式も、親族と中高を共に過ごしたバスケ部の仲間内だけの慎ましやかなものになり、終始二人は幸せそうに微笑んでいた
そんな二人の新居に桃井は押しかけていた。彼女の妊娠がわかってから部屋数の多いところに引っ越し、そしてそこには代わる代わる中学のバスケ部の面々が訪れていた
「ただいまー…っと、あれ。桃っち来てたんスか」
「お邪魔してまーす」
「おかえりなさい。今ご飯の準備…」
「あ、いいよいいよ。あっためるだけっスよね?俺がやるから座ってて」
「ひゅー。きーちゃんやっさしー」
「当たり前っス」
立ち上がろうとした白雪を制して黄瀬は素早く着替えてキッチンに立つ
「さつきちゃんも食べて帰るでしょ?」
「うん!そのつもりー」
「新婚の二人の邪魔をしない選択肢とかないんスか?みんなは…」
「だって白雪ちゃんのご飯美味しいんだもーん」
きーちゃんばっかり独り占めは良くないと思います!と宣言する桃井と俺の奥さんだからいいの!と意地になる黄瀬にクスクスと白雪は笑う
黄瀬が仕事に行っている日中、誰かしら仕事時間の合間や休みを使って会いに来てくれている。
それがとても心強い、と思う。
片目の視力がないことはそこまで不便ではなかったが、多少なりとも支障は出てくる。
やはり、身籠った体を守るには些か不安があった
「いつもありがとうね」
「ううん!いーのいーの、また来るからね白雪ちゃん!」
夕食を食べ終え、玄関先まで桃井を黄瀬と白雪が送る。
「桃っち、車出そうか?」
「まだ早い時間だから平気だよ。ありがとね」
彼女が帰ると賑やかだった部屋の空気がほんのり静けさに包まれる。
黄瀬と二人の空間は特別なもので心地いい、と白雪は思う
二人で座り、互いの肩に頭を寄せ合う。
愛おしい
素直にそう感じることができる。
「涼太くん。今度の連休、久しぶりにみんなを招待してご飯食べようか」
「そうっスねえ…もうすぐこの子も生まれてくるし、白雪ちゃんが身動き取れなくなる前に集まろっか」
「ね。楽しみだなぁ」
ゆったりとまなじりを下げて笑う白雪の目元に、黄瀬はやわらかく口づけを落とした
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