俺の持ち得る気持ちのすべてを捧げよう。
この時計が君と合わさった瞬間を忘れないように
生まれたことを、妖怪であることが白雪ちゃんと引き合わせてくれたことへの感謝を覚えているために
「あーッ!青峰っち!それ俺の肉!!」
「うっせーな、早いもん勝ちだろ」
「何枚も俺の焼いた肉食べるなんてイジメっスよ〜…」
「黄瀬君、こちらの野菜焼けてますよ」
「黒子っち…!」
かつての仲間たちを家に招いて庭でバーベキューしていると、騒がしすぎる声が響いた。
騒いでる連中を眺めるように、赤司や白雪、桃井は家の中から外を伺っていた
「まったく、大ちゃんたらいつまでも小学生なんだから!」
「青峰も白雪の子が生まれたら少しは落ち着くかな」
「そんな可能性、考えられないのだよ」
「ふふ、この子のいいお兄ちゃんになりそうだね?」
「もうっ!白雪ちゃんはあのバカに甘いのよぅ」
紫原は自分の分の食料を確保したようで、赤司と二人で白雪を真ん中にしてもごもご食べている
その横に緑間は静かに座り、呆れた顔で黄瀬たちを見ていた
リスのように膨らんだ頬を見ながら白雪はくすりと笑い食べこぼしがついてるよ、と彼の頬を拭いてやる
「ありがと〜白雪ちん」
「紫原もそろそろ白雪への甘えたを治さなきゃだな」
なんでー、と駄々っ子のように言う彼に赤司は溜め息をついた。一児の母になる彼女にいつまで甘えてどうする、と。
しかしそれは僅かな自嘲にも変わった
いつでも探している
白雪のかけらを。
どこかに彼女の紺青がないか、香りがしないか
くだらないと思いながらも、片目の視力を失った彼女の右手を握る。
「……もう、誰のものにもなってくれるなよ」
「?」
「何言ってるの赤司君、白雪ちゃんはきーちゃんのよ?」
「重々承知さ。それでも、それ以外の奴にという意味だよ」
そう。それ以外に意味はない
言い聞かせる、心に、頭に、心臓に。
「ね、みんな。私ね、涼太くんと結婚しても、この子が生まれても。私はみんなのために在ると誓ったことは違えないし忘れないよ」
「、そ…れは」
やさしいやさしい笑みで白雪は紫原、桃井、緑間、そして最後に赤い目の彼を見つめて。
しっかり言い放った。
驚いた顔をした赤司を遮るように黄瀬が大きな声をかける。
「白雪ちゃーん、みんなー!写真撮ろ!ほらほら、赤司っちも紫原っちも並んでっ!緑間っちはそんな嫌な顔しないで!」
言いかけたものを飲み込んで、五人は笑って黄瀬たちの元へと向かう
「…紫原、屈まないと入らないだろ?」
「ん〜」
白雪を真ん中にして左隣りに黄瀬、右隣に青峰、黒子、その後ろに桃井や紫原と赤司、緑間が並ぶ。
どれ程の痛みが伴おうとも、この仲間たちと彼女と、その子どもがいれば、この妖怪たちはやさしく繋がっていける
改めて、絆の深さを思い知った。
「ふふ、黒子くんも赤司くんも笑ってるね」
「赤司っちはよく微笑むけど、これだけ楽しそうなのも珍しいっスよね」
「そうだね。……早くお兄ちゃんやお姉ちゃんたちに会えるといいわね?」
黄瀬の手のひらの下で、世界をつなぐ命の胎動が、した。
「白雪ちゃん、愛してる」
───きみの手を引けるように、ずっと隣にいることを誓うよ
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