はじまりは意識してないうちに訪れていた。
冬のあの、ウインターカップを一緒に観戦した日。
泣きそうな彼の手を握ると下手っぴな笑顔を作ろうとして、それでもそんなものは失敗して。
余計泣きそうになった彼のそばにいたいと思った
赤司くんや青峰くんの危うさを彼の強さで引き留めてくれて、でも彼自身の脆さを受け止めるのは誰なのだろうかと。
血分を行うと言われた時、その時の気持ちが蘇って、ああ私は黒子くんのことが好きなんだと理解した
記憶虫の忍び込む本は触れようとした指先も記憶を取り戻した私を見て嗚咽を漏らした喉元も、全部、ぜんぶ。
私のものだったらいいのに─と
彼の手を引くのも弱いところを見るのも、私だったらいい
「白雪さん?」
彼の大きな瞳が覗き込んでくる。
ああ、あの時みたいだ
「夏が、くるね」
「…!そうですね。今度は、一緒に過ごせます」
初めて会った時の春は、夏を迎えるまで待ってくれなかったから。
また泣きそうになりながら笑うテツヤくんの手に己のを重ねる
ごめんね、これからはずっと一緒だから
あの日さよならと一緒に捨ててしまわないでよかった。
約束の破り方なんて知りたくないもの。
私はあなたの隣にいたい。
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