『いつもさつきちゃんが基準だよね』
意地悪を言ってしまった。
真剣にきかなければいけない授業にも身が入らず、頬杖をついてぼうっとする
グラウンドをどこかのクラスが走り回ってる
桃色も、…あの、まぶしいまでの青色も。
いないから、彼らのクラスではないし同じ学年でもなさそうだ。
───ああ、そういえば英語の教科書貸したな
ならば今こうして私と同じく退屈そうに授業を受けているんだろうな。
もやもやする。
嫌な気持ち。
不思議な感覚だ、彼を選んだ時点で私は彼に特別な想いを抱いていたと自覚したのに、こうやってヤキモチを妬いてあんなに仲良しだったさつきちゃんまで話に持ち出して。
ため息が自然と出てくる。
しょうがない、幼なじみなんだからそりゃあ基準にもなるだろう。
仕方のないことだ
「じゃあ日直はノート集めて職員室に持ってくること。では号令!」
先生の声にみんなが一斉に席を立つ。
それに驚いて若干遅れながらも一礼をする
あ、そういえば私、今日日直…
なんて運のない一日だ、と前髪を横に流す。
短い方がいいのかな…わからない。
「白雪どんまーい」
「もうっ、そういうなら手伝ってよぅ」
「貴重な休み時間を雑用に潰されたくないから。行ってらっしゃーい」
「薄情者!」
友達と軽口を叩いてから次々と教卓に積み重なっていくノートを持ち上げる。
あまり目立ちたくないから、もう行っちゃいますよ、と小声で呼びかけて移動し始めると、有坂ーオレのもーと何冊か乗せられる
うっ… 重い。
これを見て手伝おうという友人はいないのか、と周りを見渡してもみんなお喋りや次の授業の準備に勤しんでいた
私も早くしなければ次の授業に遅れてしまう。
グチグチ思ってないで、さっさと済ましてしまおうとクラスを出る。
私は忘れていたんだ
黒い靄は人の仄暗い気持ちから生まれるのだと──
足に微かにまとわりつく靄に、気付くことなく職員室を目指した
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