桐皇は一階に職員室や進路指導室があり、二階より上が生徒の教室だ。
だから職員室に行くためにはこの重いノートたちを持って階段を降りなければならない


なんでこうなるかなぁ…


また出てきたため息。
自分で自分を追い込んで落ち込んでる。
バカバカしいのはわかっているのだが、言わずにはいられなかったのだ

彼はいつも彼女を基本としてて、バスケ部のマネージャーと部員だからかよく一緒にいる。
私が選んだのは、間違いだったんじゃないかって。
あんな状況に陥ったら誰だって血分を行ってしまうんじゃないかって。

青峰くんに限らず、みんなにも言えることだが、同情の念がなかったなんて、私にはわからないし断言できない
最低なのはわかっているのに消えない気持ち。


「どうしたらいいのかな…赤司くん」


声に出してから、唐突に何を言っているんだと唇を噛む。
こんなことで縋り付くために離れたんじゃない。
彼には彼なりの生き方をして欲しくて、血分を聞いたときに思い浮かんだのは青峰くんだったから─
そう思って階段の前で立ち止まる。


『ニャアン』
「───え…?」


何処からか甘えるような声音で、校内にいるはずのない猫の鳴き声が聞こえた。
途端に階段へと踏み出そうとしていた足が前の方へ押し出される形になり、バランスを崩した体が落ちていく

持っていたノートがバラバラッと舞う
それを見ながら、もつれた足をどうする事も出来ず、落下する私

己の足元を見れば、黒い靄が模しているのは猫


ああ、そうか。
青峰くんが教科書を借りに来た時の女の子たちの思いが、呪になったのか


なら私が抱いた醜い嫉妬も呪になってさつきちゃんに悪事を働いてしまうのだろうか
そんなのイヤだ
ごめん、ごめんね。不幸を祈ってるんじゃないのに

やけにゆっくりと感じる落下している時間。
このあとは何がどうなったのかわからないくらいの衝撃がくるのだろう

目を閉じたら、涙が出た


「───白雪ッ!!」


群青の狼に、私は手を伸ばす




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