2017/07/13 Thu
あなたより先に海面へ向かう




「ナナオさんが死ぬ夢を見たんだけど」と会社の先輩に言われた。人が死ぬ夢を見たひとは運気が上昇する、みたいな話は聞いたことあるけど、他人の夢で勝手に死んだことにされている私はどうなるんや…という気持ち。




私の所属する部署は、自社で作っているシステムのサポートと、お客様先のネットワーク機器のサポートとを、並行して取り扱っている。
全国的には自社システムのみ扱っている地区が多いが、私の所属する地域はネットワーク機器保守を一緒におこなっているところが殆どだ。

複数ある課のうち、私が所属する課の殆どの人が自社システムサポートのみで(そのぶん一人が担うお客様の数は多い)、私とA先輩の二人が複数のお客様を持ちながらネットワーク機器保守もおこなっている。

ネットワーク機器保守をしている他の課の先輩方からは「ナナオちゃんの課はシステムサポートしかしていない仕事しない人ばかりだよね?」と言われるし、自分の課の先輩方からは「ネットワーク機器保守ってなに?そんなに大変?新規顧客じゃないんだから他の課は楽でいいよね」と言われる。
他人をけなす暇があるなら、どちらもこなしている私を褒めろよと思う。

上司はネットワーク機器保守系はあまりわからない人だ。
昨年私とA先輩の担当のお客様について、大規模なネットワーク機器導入があった。上司も導入プロジェクトに携わっていた。
納期に間に合いそうにないと相談しているのに定時に帰る上司を見送って、先輩と二人、私たちいつまで二人きりなんだろうねと笑うしかない状況だった。

私は今年、別の課が担当するお客様の導入プロジェクトに参加しているけれど、その私に向かって上司は、「機器導入なんて単純作業で頭を使わない」「導入のために作業スペースにこもっている人たちは、頭使わなくて楽だからこもっているんだろう」と言った。

あなたが去年単純作業しかしてくれなかっただけなのでは?と思ったけど、言うのを我慢した。
うまくいかないと頭を悩ませている先輩方は沢山いるのに、よくそんなことが言えますね?と思ったけど、言うのを我慢した。

我慢したら胃にきて、立て続けに二回も吐いた。私が自分のお客様のために勉強しなきゃと思って、プロジェクトを頑張っても、この上司には認めてもらえないのだとわかって、でも納期は迫っているから日が変わるまで働いて、

お客様のために頑張ったって、頑張ってないことにされる。他の課は頑張ったと認めてくれるのに?私だけが?


なんかもう一気にやる気を失いつつあって、とりあえずその上司に伝えてみた。

「私がメンターやってる子は導入にあまり参加させない方がいいですよね?だって単純作業なんだし」
「後輩の子の代わりに誰かあてがってくださいよ、納期迫ってますし」
「あなたに相談するしかないのに、今あなたはネットワーク保守やってる先輩方と敵対する位置にいるから、誰に相談すればいいかまったくわからなくなっちゃいました」
「去年頑張ったことも、何の意味もなかったのかなぁとか思ったら、よくわからなくなってしまって」




「知らない状態にあることを知っている」ことについて、いろいろな哲学者たちがその大切さを唱えているのに、どうしてこの世にいる人たちはそれを読み取ろうとしないのだろう。

新規顧客だけなんて楽だという他の課の先輩方も、ネットワーク機器保守って大変なのという自分の課の先輩方も、単純作業だといった上司も皆、哲学書を網羅的に勉強してから人生を出直してきてほしい。

私の会社はすぐ、自分と他人の仕事の優劣を競ってばかりで、自分がやっていないことを知ろうともしないくせに優劣だけはつけようとする。

転覆する船の上で、他人を蹴落として救命ボートを奪おうとするような会社だ。全員まとめて溺れて死ね。社会のためには死んだ方が有益だ。


 


ALICE+