2018/01/08 Mon
本当のことは知らない




いつのまにかクリスマスも通り過ぎて年末も通り過ぎて、新しい年がきてしまった。やばい。時の流れがはやすぎて気絶しそう。あけましておめでとうございます。



クリスマスイヴに松島さんからデートに誘われ、年末に会えないか誘われ、年明けに初詣に行かないかと誘われたものの、一度も返信していない。

仕事がしんどいのも確かにそうだし、仕事か睡眠以外に何かをやりたいという意欲もない。休みに人と会うのがしんどい。会う相手が恋人だろうと友人だろうと知人だろうと、金もらってないから人とコミュニケーションしたくないなーという気持ちになる。仕事は金もらってることだから超頑張れるんだけどな。金もらわなきゃ人と喋りたくないとかやばいな。

松島さんは歴代の恋人の中で一番年上の人で、どうしてそのひとと付き合っているのかっていうと、会社の先輩のオススメ婚活サイトで知り合った流れだった。超いいひとだし、こわもてだけど可愛げがある性格なのも素敵だし、向こうに悪いところは何もない。

若い男の子と付き合っても女の子と付き合っても、いつだって一人の時間の方が居心地がよくて、きゅんきゅんすることもなく、この人と一緒にいたいと思うこともないから、もしかしたら自分はめちゃくちゃ年上が好きなんじゃなかろうかと思って付き合ってみたけど、そういうことでもなかったみたいだ。

そもそも毎日毎日ひとと喋って機械の面倒見て慌ただしい日々を過ごして、にも関わらず休日も誰かと一緒にいるってハードすぎない?皆ほんとすげーな尊敬する。デモ会で五十人以上のお客さん相手に散々喋って、それだけで顎の筋肉酷使しすぎていて、それに加えて休日も外出る支度して顔作って服着て人並みの自分でいるように心掛けるって、ほんと無理だ。それに加えて夜中まで運動?は?体力おばけなのか??

あまりにも長いこと恋人がいないと人としてアウトだ、っていう社会の目を意識して、恋人は定期的に作るけど、自分は壊滅的に結婚だのなんだのということに向いていない。そもそも上記の理由で恋人を作るっていう思考があかんのやろうなぁ。でもきゅんきゅんしないんだもん。可愛いとかそういうことは感じるんだけど、そのひととどうこうなりたいとまったく思わない。寧ろ「金もらってないのに会う時間作ってる自分、めっちゃ偉いな?」とか普通に思ってしまう。



仕事辞めたいと悩む同期の佐藤が、先日めっちゃ上の上司とサシで飲むことになった。上のひとたちは佐藤が何に悩んでいるのかまったくわからなくて、急に私を呼び出して「佐藤くん最近どう」とか聞いてきて笑った。佐藤から悩みはいろいろ聞いてはいたけど、どうしようサシ飲みとか……何聞かれるんだろう……って悩んでましたよ、って返しておいた。内緒話だよ、と言われてることをぽんぽん話すほど口軽くないっつの。

上司から佐藤に「俺を誘え、スケジューリングしろ」という話があって開かれた会にも関わらず、何故か佐藤から上司にサシ飲みを提案したことになってたみたいだし、それについて佐藤の先輩が「俺に報告すべきじゃないの」と言ったらしくて、佐藤の悩みが増えただけだった。おめえらそういうところがあかんのに……ほんとだめな奴らだな……と思った。


この会社に入ってから「軽率に叱る」ひとの多さにびっくりすることばかりだ。私たちは誰も彼も一人称視点しか持っていなくて、文学で言うところの「神の視点」を持っている人間なんていない。だというのに、しくじった行為から勝手に妄想で逆算して、「こうしたのがだめなんだろう」「こうだからおまえはだめなんだ」とか平気で言う。

望んで失敗する人間なんて、どマゾでもなければなかなかいないのにね。風俗やってた頃はそういうお客さんもいて、だから自分を叱ってくださいと懇願されて、こんなふうにして恥ずかしいひと、なんて言ったりもしたけど。そのひとだって会社でそういうことができないから風俗くるんだろうし。都合よく会社の先輩方の妄想通りに進むはずがない。なのに、経緯を確かめずに、軽率に叱る。自分には神の視点があると勘違いしてるのかもしれない。おまえは天上人かよ。勝手にアテレコするな。


と、佐藤の肩を持つようなことを言ってみたものの、私は佐藤の考えに全く共感できない。

こんな恵まれた仕事を得られたのに、何が嫌なの?そこそこ立場のあるひとたちがお客さんだから、クレームの電話だって殆どない。お客さん先を訪問して、笑顔で迎え入れてお茶まで出してくれる。そうではない会社などこの世に山ほどあるのに。



むかつくんならむかつくって言ってやればいい。勝手にアテレコすんなって言い返せばいい。あとから同期に愚痴る意味がわからない。生産性が何も無い。


私は会社入ってから一度だけ、勝手にアテレコされて叱られたことがあった。勝手に先輩が物を無くして、こいつほんと最低だなと思いながらも先輩相手だからそういうことも言わずに、デスク周り一緒に探しましょうか、無いですねぇ、客先のあの部屋にあるかもしれませんね、結構あそこに置いておくひともいますし、とか優しく言ってあげていたら、「自分の担当案件のことなんだから、もっとちゃんと考えてよ」と逆ギレされたことがあった。

そのときほんとに我慢できなくて、というか、繁忙期で失せ物探すほど余裕がある時期ではなかったし、先輩はいつもさっさと帰るのにそのあと私は残業して、明日の先輩やバイトのために頑張ってるのに、こいつほんまええかげんにせえよ?と思って、キレ返してしまった。私が何を考えてるかなんてわからへんのに勝手に妄想して勝手にキレて、ようそんな手前勝手なことできますね?あんたがなくさへんかったら良かっただけなのに、どうして私が怒られてるんです?普通にムカつきますわ。と言ってしまった。

ワンフロアのオフィスは一瞬のうちにシーンと静まって、いろんな先輩方がおろおろしながら私たちのところにやってきて、私は怒りがおさまらずにキレながら探し続けていた。ちゃんと考えてるか、私の内面がわからへんのに、よう決めつけてそういうこと言えますわ、あほすぎてびっくりしますわ、ねえ、あんたもそう思いますやろ?とか、キレすぎてキレてる相手に質問しまくっていた。ごめん、ちがう、あの、みたいにおろおろする先輩が超おもしろかった。あれから喧嘩を売られることはなくなったし、私は楽しく仕事ができている。

佐藤の話を聞いていると、私ならその時点でこう返してしまうけどなぁとか思ってしまって普通にストレス溜まる。勘違いされてムカついてるなら、勘違いを正してやればいいのに。へこへこ謝る従順な後輩でいたいならいいんだけど、勘違いされたらされたままなんだし、自分にとってどちらが得なのか考えたらいい。

理由なく望んで失敗に突き進む奴なんていない。何かしらの経緯が必ずある。世の中の人間すべてがそういう判断をしてくれればいいけど、そんな優しい人間なんて殆どいないんだから、もうどうしようもないよね。



長くなってしまったので、コメレスはまたこんど!



 


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