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「と言うわけで、生きてるのか死んでるのかここがどこなのか全くわからないのです。」
ナマエがひとしきり話した時、「どーせ信じちゃくれないだろう」とか「頭イかれてると思われてるな」とか色んなことを考えていると向かい側に座る男は澄んだ瞳でまた自分を見つめた。
その有無を言わさない瞳は純粋そのものに近かったのかもしれない。ナマエは思わず緊張して固唾を飲んだ。
「お前は生きてる」
真っ直ぐと言う言葉に嘘はない。
けれど何故、と疑問を抱くのもまた事実。
その心情を読み取ってか否か、男はナマエの両頬を思い切り抓った。
「いっっひゃい!!!」
「いてーだろ。ここは現実。オメーの妄想空想世界じゃねぇ。生きた現実だ」
頬をさすると目の前の男はニヤっと笑ってみせる。
「俺はリキ。お前は」
「わ、私はナマエと申します…」
名乗りを上げたその瞬間リキは両目を大きく見開かせ、丸くさせた。
それが驚いているというのはわかるけれど、どういった理由でそんな表情されるかは謎でしかないのでとりあえず口をつぐんだ。
「お前はウチで預かる。家のものは何でも使って構わない。あ、お前の部屋用意できるけど掃除は自分でしてくれ」
「え、ちょいちょいちょい!リキ、さん?待ってくださいよ、そんなさっき会ったばっかりなのに悪いですよ!」
「じゃあお前、ここら辺で野垂れ死にたいか?」
「は?」
「ここら辺一帯は熊や狼が出るのは勿論、夜になると獣の集まりも珍しくはない。一般人がうろちょろしてたら無駄死する」
聞いた瞬間恐ろしくなり鳥肌が立つのがわかる。いきなりの誘いがまさか置いてくれるなんて思いもしなかったものだから遠慮してみたらこの様である。先ほど自分が発した言葉が嘘だと見透かされていたのは当然だった。
ましてやこんなところに住むこの男もこの男だが。
「お前を鍛える」
「ふぁ?」
「鍛えて強くする。それが今後の目標だ」
また突然突拍子も無いことを言ってのけるのがリキという人間なのだろうか。ナマエは何からつっこんでいいのかわからずとりあえず目の前の男を見上げた。
「まずはハンター試験に臨んでもらうか」
「ーーーーえ?」
聞き覚えのある言葉に思わず反応する。
そして耳を疑った。ハンター試験って、あのHUNTER×HUNTERの?あれ?だよね?他にハンター試験って引っかかるワードあったっけ???
仮に、トリップなんて言葉があったら私は物凄く嬉しい。あの世界に来れたのか、なんて。死ぬほど嬉しい。いや、死んだか。いや今生きてる…まあそんなこと今はどうでもいいや。そしたらみんないるってこと?そしたらまさかあの子やあの人に会えるってことーーー?
「早速トリップしてんじゃねぇよ」
「ぎゃふん!」
色々と考え込んでいると背中に蹴りをくらい地面にのめり込む形となってしまったのは言うまでもない。
「何固まってたんだ」
「いえ、別に…。アハ、アハハハー」
「嘘は下手くそだな。強化系」
「勝手に系統決められた!」
「…お前念について何か知ってるのか?」
「!…あ、あー、まあ…元いた?生前の世界では有名なお話だったんで」
「有名?」
全てを話した。
もしかしたらこの世界のことを知っていると。
この世界観が表されている漫画があると言うことを。
馬鹿にされるかもしれない。むしろそれを望みながら話している自分が嫌に冷静でそこに驚いた。
「…ふうん。じゃあ念能力については大抵はわかってるのか?」
「昔は頭で理解はしたつもりでも実際出せるわけないだろうって。でも水見式は小学生くらいの時とか冗談でやってたけどなー。何も起こりませんでしたけど」
「面白いな、お前の話」
「えっ、信じるんですか?」
「んー、わけわかんねぇけど面白いからとりあえず」
と言われた瞳は相変わらず純粋そうに光を灯していた。かく言うリキも強化系ではないだろうか、と軽く疑うほどで。
「(あ、でも嘘は見破れるから嘘つきなのかも。…でも変化系ってわけでもなさそうだし)」
「なら話は早いな。基礎体力を作り上げて応用が出来たらハンター試験に臨む。それが最初の課題だ」
自分にそんなことできるかできないか。半信半疑の傍らドキドキと楽しみに似た気持ちが胸に込めていたのはまた別の話。