Just Give Me A Reason
その女は19歳 アルバイトで生活しているらしい。それにしてもすげぇでかい犬…しかも不愛想だぜ、俺にだけか?なんてなに俺は馴染んでんだ。そそくさと家から抜け出そうとして自分の服装に気付いた。
「げっ」
真っピンクのフリルの着いた服...。おい、なんでこれを選んだんだよあの女。
「おい!!なんだよこの服!!!」
「えー可愛いよーー」
「ちげぇ可愛いとかじゃねぇんだよ!これじゃ外でれね…」
目の前に広がるのは食卓にぎっしりつまれた料理の数々。温かい匂い 何で懐かしさを感じんだよ…
「はいはい、座って お腹空いたでしょ」
「だから この服ッ!!」
「後で着替えあげるから、ね」
女の顔と料理を交互に見るとぐーーと腹が情けない音を立てて鳴った。ちっと舌打ちしてどかりと座る。
「嫌いなものある?」
「無い…」
「そう、頂きます」
「…いただきます」
ぱくり、一口しか食べてないのに母さんの顔が頭に 懐かしい 会いたい 愛されたい もっと愛がほしい 頭の中でちいせぇ頃の俺が泣き叫んでる。母さんが悪いわけじゃないんだ、大人がきたねぇんだ。ぱく、もう一口 涙が止まらなくなった。
「え…ちょっとどうしたの」
「…っ、んでも…ねぇ」
「…明王」
昔の母さんみたいな優しい声で呼ぶんじゃねぇ...気付けばからんっという音と共に俺をふわっと抱きしめる女。その暖かさが今まで錆びついてた涙腺を溶かした。
「ほーら、泣くのは恥ずかしくないよ お食べよー」
「うるぜぇんだよ」
「鼻声…」
「わらうな!!!!」
情けねぇくらい泣いた自分が恥ずかしくて、ずっと顔を下に向けていた。
「大丈夫だよ、何があったか知らないけど 私が守ってあげる」
「女に守られるなんて恥ずかしい事されたくねーよ」
えー女は男よりも頑固なんだよー!そう言って笑った。
その子は不動明王。
中学二年生、14歳。
あまり深く追求しない方がいいのかな。私と5歳も年下なのに身体つきはしっかりと男の子、身長だって私くらいある。
なのにまるで...殺処分を待っている犬の様に全てを悟ったような、諦めたような、怯えている目。何がこの子をこんな風にしたんだろう。
虐待か、この子は自殺するつもりだったのか。やりきれない思いで疲れて眠ってしまった明王を見つめる
「おやすみ、良く寝てね」
20140101