ぽろぽろ涙を流して僕を見つめている◎ちゃん、殴られたのか顔が少し腫れていて、ちらりと見える白い肌には痣があった。



「◎ちゃん、どうしたんだい?」

「なんでもない…」

「じゃぁ何で僕に助けを求めてきたの?」



黙ってしまった小さな女の子を優しく抱き締めた、より一層大きくなる泣き声が僕の耳を震わせた。



「ほら 座って」

「ん…」

「はいハンカチ」



白いハンカチが◎ちゃんの黒い涙を吸い込み 黒くなっていく、顔洗っておいでよ そう言えば よろよろ立ち上がって水道で顔を洗う彼女。

素顔は まだまだ子供だね、どれだけ背伸びをした格好をしても 結局子供なんだよ君は。ゆっくりとベンチに座った◎ちゃんの頭を撫でれば手首をがしっと掴まれた。



「…ねぇ、しようよ」

「何をだい?」

「女と男がする事」



何処を見ているんだろうかその瞳には何を映しているんだろう 虚ろな瞳「何故、僕とそんな事をしたいんだい?」そう聞けば即答で「助けてくれると思ったから」なんて...。

その行為は逃げ場でも居場所でもないのに、何を勘違いしているのか 愛情というものを理解できる歳じゃない事は分かっているけど...。



「助ける事はできないよ、その行為に君はどんな感情を抱いてるんだい?」

「…愛されてる気がするだけ」

「気がする、ってことは愛されていない事君は気付いているはずだよ」



もうやめようこんな事
そう言えば こくんと頷いて、飾っていない素顔で僕を見た。君はとっても寂しかったんだね、僕と君は似ているのかもしれない。










しばらくそのベンチに座っていた、ぎゅっと握られた手が吹雪さんの温かさを伝えてくる。どくんどくんと高鳴ってる心音、気付かれたくない。だってきっと私は完璧な貴方には似合わないし私はとても汚い。



「さ、そろそろ帰らないとね お母さん心配するよ」


「…うん」



ずっと手を繋いだまま歩く。

河川敷から凄く遠くにあるはずの家が、凄く近く感じた。無言のまま ずっと無言のまま、だけどしっかり手が握られて それだけでまた泣きそうだった。



「それじゃあね◎ちゃん」


「…おやすみ」


「うん おやすみ」



君にはちゃんと僕がついてるよ。そう言い残し 去っていった吹雪さん、心臓の音 貴方に聞かれてないかな。





20140105

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