12

お帰りなさいませ!ご主人様!


元気のいい女性店員はお姫様のようなヒラヒラとした制服に身を包んでる、初めて来たメイド喫茶はあまりにも異世界過ぎる。

ああいう服 〇に似合いそうだななんて恥ずかしさを紛らわす為にキョロキョロと店内を見ていたら、店員が席まできた...。



「ご注文は何になさいますか?」



ドリンクメニューを見てギョッとしてしまった、変な名前のドリンクがズラリと並んでいる。



「え、えーっと...これ...」

「どちらですかぁー?」



お互いの頬っぺたがくっつきそうな距離、ドキッとしてしまい逃げるようにして体を左に傾けた。一番言いやすそうな ミルクティーの名前を小声で言えば、店員は大きな声でそれを復唱した。目金は通いなれてるのだろうか、誇らしげに顔を緩ませて ケーキセットを頼んだ...。



「君 見どころがあるね」

「...君達」

「君に見せたいものがあるんだ、着いてきてくれたまえ」



急に現れた謎の男2人について行って、俺達は地下に行く事になった。なんなんだ...ココは、 ?












「ちょーっと ストップストップ 悪いけどそんな事してる暇はない、俺達はもうすぐ大事なサッカーの試合があるんだ」

「おや?君たちもサッカーをやるのかい?」

「え、君たちもって...」

「僕達も結構大きな大会に出ていてねぇ...えっとー なんだっけ」



実は次の対戦相手は目の前にいる、この変な奴等だということが分かって俺達は動揺して声が漏れた...オイオイ、本当に強いのか...!?


俺達は呆然とメイド喫茶の扉を抜けて外に出た、薄らと空がオレンジ色になってきた もやもやとした気持ちを抱えながらも河川敷で特訓する為に歩き始めた...その時...



「守くん!なんで電話もメッセージも返さないの!?」



ハアハアと息を切らせながら 〇は、汗ばんだ手で膝を掴んで息を整わせようとしている。電話...?ゴソゴソとポケットに入れている携帯に手を伸ばせば おびただしい着信とメッセージが...な、なんだよこれ、



「ご、ごめん...気付かなくってさ 」

「もう 信じられない!私以外の女の子とイチャイチャするようなお店いくなんて、もー サイテー!!」



泣きそうなほど真っ赤な顔をしてまくし立てる彼女にどうしたらいいか分からずに、そろりと後ろにいる皆を見ると 気まずそうな顔をして「さ、先に行ってるぞ!」と風丸が皆を連れて河川敷の方に...

おいおい、俺を置いていくなよ!



「ねえ、聞いてる?守くん!」

「えっ あ、ああ 聞いてる聞いてる」

「なんでメイド喫茶なんかに行ったの?こんなの、キャバクラと同じだよ!」

「キャバ...クラ、?!いやいや 違うって、中に入ったら次の対戦相手がいて そいつ等と話してただけで」

「嘘つかないでよ!」



女の子ってこんなに難しいもんなのか...?

俺の言葉に被せてすぐに否定の言葉を投げられて、てんてこまいってしまった。



「私だけじゃないとヤダ」

「...俺本当に何にもしてないって...ば、!?」



タタタッと小走りでコチラに寄ってきて〇は、俺の身体に抱き着いてきた...!柔らかい身体と いつも香ってくる清潔な甘い匂いが今日はガツンと匂う。

ドキンドキンと激しく心臓が跳ねている中、俺は〇の肩に手を乗せてベリっと音が聞こえそうな程の勢いで剥がした。



「〇! 俺達はサッカーのためここに来たんだ...分かってくれよ...」

「サッカーのためって言ってたら全部許されると思ってるでしょ、守くん...私の事なんか好きじゃないんでしょ」

「違うって!」

「じゃあ、好きって言ってよ...」

「......そ、その」


「ほら、やっぱり好きじゃないんじゃん...もういい 最低...」



怒りで染めた赤い顔に 涙を流して彼女は俺を睨む、慌てた俺は軽い口振りで「す、好きだから、好きだから...泣くなって...!!」少し大きな声でそう言えば 〇の涙はぴたっと止まった。



「じゃあ、もう二度と 私以外の女の子とイチャイチャしたりしないでね」



〇は 急に真顔になったと思えばそんな事を言って、少し怖くなった俺はこくんと頷いた。それを見て笑顔になった〇は「河川敷、いこ!」と 楽しそうに言って俺の腕に自分の腕を絡めて すっかりとオレンジに染まる空を眩しそうに見上げて歩き始めた。


喜怒哀楽の表現が激しいだけなのかもと思えば、それはそれで 可愛い女の子なのかも...と思って何も言えずに俺は歩幅を合わせて進んだ。



20180606