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「俺、円堂守!サッカー部のキャプテンだ!新しいマネージャーになってくれるって聞いた、宜しくな 〇!」



オレンジバンダナの、なんだかキャンキャンとやかましい男の子が私の手を握りブンブンと振り回す。なに この男の子...汗くさくて暑苦しくて嫌だなぁ、そう思ったけどキャプテンなら仕方ない。

円堂君が挨拶してくれた後、他の皆も次々と挨拶してくれた。あの白髪の子が豪炎寺君かぁ、なんかこの、アンニュイな瞳がたまんないなぁ。

風丸君か...豪炎寺君か...決められないよ!











次の日、部活前私は女子トイレにいた。

スポーツしてる男の子は きっと活発な女の子よりも可愛らしい子の方が好きに決まってる、ルンルンで前髪を整えて綺麗な色したリップグロスを下唇へと ふっくら塗る。

その後ろで3年の先輩達だろうか少し派手な女生徒達がサッカー部の話をしていた、別に割り込むわけでもなく 何となくその話を聞きながらグロスを綺麗に伸ばせば「同級生にいいのが居ないよね」「サッカー部の中にカッコいいのがいたじゃん、誰だったかな」「豪炎寺君?」「その子もかっこいいけど、元陸上部の...」「あー 私と風丸君派」なんてくだらない話が聞こえてくる。

「サッカー部に入れば付き合えるかな?」

まぁ 誰もが一度は夢見てしまうよねぇ、ふふっと鼻で笑えば 彼女達の視線が私に集中した。



「今笑った?」

「いや、可愛い妄想してるなぁと思って」

「バカにしたような言い方して...」

「やだなぁ、被害妄想ですよぉ 」



ヒラヒラとチーク用のブラシで先輩達をしっしっと散らそうとすれば、火に油を注いでしまったようだ。あーあー 面倒臭いなぁ。



「サッカー部のマネージャーの仕事があるんで そこ通してもらっていいですか?」

「...あなたサッカー部のマネージャー?」

「そうですけど それじゃ、失礼します」



馬鹿な女達の横を通り過ぎようとすれば 先輩達は私の腕を掴んだ、シャツに皺ができちゃうじゃん。



「待って 私達をサッカー部の子達に紹介してくれない?」

「はあ...?」

「私達誰とも繋がりがないから 近付けないの、お願い」

「先輩達みたいなのじゃ無理ですよ」



わざと煽ってみれば、みるみる内に赤くなっていく先輩達。馬鹿な女って嫌い 帰ろうとドアを開ければ勢いよく掴まれた。



「ちょっと待ちなさいよ」

「本当の事言っただけじゃないですかぁ」

「最低!」



いきなりバシッと殴られてぐわんぐわんと世界が歪んだ。

トイレの前の冷たい廊下にばったり倒れる私の上に はっとした表情の先輩達の顔、痛いなあ しばらく動けずにいる私の頭の向こう側で「おい!大丈夫か!?」と声が聞こえてきた。



「...っ!やばい、早く逃げよ!」



バタバタと腰抜けの馬鹿女達が走って逃げてった。

本当に痛いんだけど少し涙が出て目の前が歪む、ぼやけた視界を必死にクリアにすれば目の前に「...〇?〇じゃないか!」と眉をひそめて私を呼ぶ円堂君の姿。



「え、円堂くん...」

「さっきの奴らにやられたのか?立てるか?」



昨日会った円堂君だ、ゴツゴツした手で私の腕を掴むと優しく立たせてくれた。



「凄い勢いで叩かれてたよな 俺遠くにいたから助けらんなくて ごめんな」

「なんで、」

「だって どんな理由があっても暴力はダメだ!」



そう言って私の頭をぽんぽんと優しく撫でる円堂君にありえないくらいドキドキと心臓が早くなっていく、ほっぺたが熱い...大きな手のひらを感じながら 私は薄く唇を開いてみた。



「円堂君 ありがとう」

「何言ってんだよ 当たり前だろ!もう大丈夫か?」

「うん!あの、円堂君って下の名前...」

「ん?俺の名前は 円堂守!」

「そうだったそうだった...!守君って呼んでもいいかな?」



部室に向いながらは彼の学ランに少し手を伸ばせば、守君は一瞬きょとんとしてからニカッと「いいぜ!」と笑った。



20180310