「ボール拾いか!?俺はー!?」
練習が始まって木野さんと近くの木陰に立ちみんなを眺める、染岡君の怒った声に木野さんはクスリと笑った。
でかい車の上で守君はポイポイとボールを落としてシュート練習をしているようだ、木野さんはというとニコニコしながら皆を眺めたり 時折「頑張ってー!」と大きく声を出してた。
「どう? 似合うかなー?」
「似合ってるよー」
さっきの転校生、土門君が私達のそばまできて ピッタリと着こなしたユニフォームをまるでモデルの様にポーズを決めながら木野さんにコメントを求めている。スタイルもいいし、顔も悪くないけど...なんか チャラいし 私はあんまし好きじゃないなぁ。
「お、かわい子ちゃん お名前は?」
「...!〇◎です」
「なんか ハムスターみたいだな!俺は土門、よろしくな」
それじゃ 秋また後でな! ニコリと笑い、守君達の元へ小走りで向かう土門君。ハムスターは可愛いから好きだし 馴れ馴れしいのも許してあげよ、木野さんを顔を見ると 土門君の背中に視線を注いでた。
「...ふーん、土門君って木野さんの元カレ??」
「え!?ちっ、違うわよ...!」
「えー 怪しい、土門くんもさ木野さんに気があるみたいだし...守君よりもお似合いだと思うよ」
右側の口角をあげて木野さんを見ると、一瞬眉をひそめて困ったように「なんで 円堂君が出てくるのよ 嫌だわ〇さんったら...!さ、みんなにドリンク配りに行きましょう!!」と必死になって 守君のことなんか好きじゃないアピールしてきて 笑っちゃう。
▽
やっと 泥臭い練習が終わり、皆より先に私と木野さんは着替える為に部室に向かった。木野さんはオレンジのジャージの下に 白いキャミソールを着ていて、なんかイメージ通りーって感じの女の子。
ピンク色のジャージを脱いで 制服に袖を通した、みんなにドリンク配る為にドリンクかごを持ったせいか 手首がなんだか痛い はぁ私本当にこういうのしたくないんだけどなー。
部室に備え付けられている、小さな鏡の中で お気に入りの薄いピンクのリップを塗って チークを塗り直した。このあと絶対!守君と帰ってやるんだから!
「〇さんが居てくれて助かったわ」
「え?」
「結構マネージャーの仕事も大変なのよ、ずっと1人だったし...あっ 音無さんもいるけどね彼女は情報収集担当だから 今日みたいに練習中に一緒に応援してくれたり仕事してくれたりする子がもう1人増えてくれて嬉しいの」
「へぇ、確かにぃ 力仕事やだもんね」
「嫌じゃないんだけどね...!」
皆の辛い顔も嬉しそうな顔もすぐに見ることが出来るマネージャーは最高なのよ?なんて、肩を少し上げて微笑む木野さん。どうせ 私の事こき使うつもりなんだろうけど、そんな事絶対させないから...。
私の嫌いなタイプの彼女から早く離れたくて 「お疲れ様でーす」と言い 彼女を部室に残して私は外に出た。
「...!あ、守君!」
「お、〇じゃないか!」
「皆は?」
「アイツらは 顔とか洗ってるよ、俺先に着替えちゃおうと思ってさ!」
守君の溢れんばかりのスマイルにうっとりしてしまった、別に凄くカッコイイわけじゃないけど キラキラした笑顔が可愛いしカッコイイんだよねー。少し暗くなってきた空を見てから、私は守君に視線を戻した。
「ねえ、一緒に帰らない??」
「あぁ いいぜ!」
「本当?...私嬉しい、2人で帰ろうね!それじゃ 校門の方で待っとくからー!」
後でね!と手を振りながり、私はつま先で跳ねるようにして校門へと向かった。よしよし この調子ならあと三日 四日あれば守君をゲット出来ちゃうね。
20180329