「次の方 ご注文はお決まりでしょうか?」
整った顔の男の子達二人がメニューと睨めっこ、少し前に立つ濃いめのピンク髪が印象的な彼が 「ラテのアイス ラージで」と冷たい声色で注文をした。
「俺もそれで」
背の高い 狼みたいな目をした少年は、メニューを一切見ずに短く言い放つと...二人して 左にあるショーケースを覗いた。
「何か食べる?」「何か食べます?」
見事にハモった二人は目線を絡ませることない。暇な時間帯なので別にいいけど、彼等は サンドウィッチとミートパイを交互に見て うーんと小さく唸った。
甘いものには目もくれず、ハニーマスタードで絡めたチキンサンドとハムとチーズのホットサンドに手を伸ばす彼等。随分と大人びて見えたその指や目つきが、一瞬だけ 子どもっぽく見えた。
「以上でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「ありがとうございます、お会計は...」
お会計のトレーを彼らの前に出すと、前に立っている彼が黒の長財布から紙幣を一枚取り出して 無表情で置いた。おつりをお返ししてレシートを渡す際 ピンク色の髪の彼の指に軽く 触れてしまった。
「手、冷たいですね」
「えっ あ...室内は少し冷えるもので...」
「ふーん 頑張ってください」
レシートを受け取りスタスタカウンターへ進むピンク色の髪の少年、後ろの彼はサンドウィッチをのせたトレーを運び 後を追って行った。
「あ、ありがとうございました」
カウンターに肘を付いてコーヒーを待つ彼の横顔がとても儚げで見入ってしまった、こちらに気付いたのか「見すぎ」と 鼻で笑われてしまった。
こ、子供の分際で...!
かァーっと熱くなる頬をぺちぺちと両手で軽く叩くと、冷えた指は温かくなっていた。
「西陰、いつまで 俺の顔みてるつもりだい?」
「ナンパなんかするからですよ」
「そんなつもりじゃなかったんだけど、彼女うぶだね」
「悪い人ですね」
西陰は表情では読み取れないが、心底呆れた様子での声色で 俺を責めた。彼女の後ろ姿だけしか見えない席で、ラテを飲み 彼女が温めてくれたハムチーズのホットサンドを齧った。
「野坂さん 見すぎです」
「うるさいよ 西陰」
20180424