冷たい灰崎

美濃道三と雷門の試合後、灰崎君と帰ることに。帰ることにというか 後ろをついていってるだけなんだけど...。



「なんか、面白くない試合だったよね」

「...そうかよ」

「ねーもっとお話しようよ」



無視ですか...!

少し目線を下げるとひらひらと捲れるブレザーからくまのキーホルダーが揺れた、灰崎君って実は可愛いの好きなのかな?なんて思っちゃって「クマちゃん可愛いね」と言えば ピタリと足が止まった。



「ハァ?」

「それ、キーホルダーのこと くまが好きなの?」


「お間には関係ねえだろ うざいんだよ」

「いいじゃん、くまが好きなのか聞いただけなのにそんな怒ることないじゃん」

「それを知ってどうなるんだよ」



首を掴まれた、背の高い灰崎君に見下されて痛みに眉をひそめると...ぱっと手を離す。

いつか 私の方を振り向かせてみせるって自分の貧相な胸に誓ったけど、彼はいつまでも遠い。

日常会話すらしてくれないんだもん。



「あーあ 好きなのにな」



聞こえるように発した声にピクリとも反応しない灰崎君の背中がどんどん小さくなる。要塞のように自分の事を守る彼は 痛々しい、知りたいのに...全然私の目すら見てくれないんだもん。



「守るのが好きなら、美濃同三にでも転校しちゃえ!」



なんて、何にも面白くない冗談を言いたくなるくらい 彼は私に冷たい。



「まだ帰ってなかったのか」

「監督...今日もフラれちゃいました」

「懲りないやつだな、諦めなければ 叶うこともある」



ポンと肩を優しく叩くと、久遠監督は高そうな革靴の音をさせながら灰崎君の背中を追った。残された私は ため息を吐いて、無理やり笑った。



「クマのキーホルダー買いに行こっかな」




20180428(冷たさは防御/灰崎)